Googleストリートビュー寝言会議

ストカー問題続き
Googleストリートビュー」は何が問題か――MIAUがシンポ
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0808/28/news032.html
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0808/28/news032_2.html

本当に問題なのか? 会場は半数以上が「問題ない」
 中川さんが、会場に集まった50人ほどに対してストリートビューへの賛否を尋ねたところ、半数以上が「賛成」(あっていい、問題がない)と答えた。
 パネリストの間では意見が分かれたが、明確に反対したのは河村さんだけ。山田さんは「法律や社会合意を含めて詰めた上で、慎重に始めるべきだった」とやや反対寄り。八田さんは「問題ない」とし、壇さんは「中立的に法律論を考える。善し悪しの評価はしない」という立場だ。
 河村さんは「営利企業が住宅街の路地にまで入り込み、インターネットを使わないような人の家まで撮りに行っているのが嫌」と話す。

*1
 えーと、住宅街の路地までしか認識しなかったんですか?数平方キロに一カ所くらいの頻度で住宅敷地に入り込んでベランダの奥まで撮影してるようにみえるのですが。位置指定道路*2への入り込みとおぼしき画像は多すぎて数えきれないよ。

 住宅敷地に無断で進入した車輛が勝手に敷地内で撮影しているのに気がついたら、私なら警察呼びます。たまたま住人や管理人に見とがめられなかったのでつかまってないんですよね。*3
 パネリストの人たち、自分ちの回りのストリートビュー見てないんでしょうか?「お幸せなんですね」*4
 ちゃんと見る事を強く推奨します。

 ストリートビューが社会的・法律的に受け入れられるかどうかについて壇さんは「まだコンセンサスがない」と話す。

 「例えば、根拠なしに人の家を盗撮するのは社会的にも法律的にもアウトだが、犯罪行為を行っている人を見つけて証拠保全するための撮影はOK―― という基準になっている。だがストリートビュー機械的に撮っており悪意はない。何の意図もないものについて、どうするかのコンセンサスは、おそらくない」(壇さん)

 民事訴訟でどうなるかは「撮影されることによる被る不利益と、撮影によって起きるいいことの比較衡量で決まる」という。似た例としては、写真週刊誌の記事がプライバシー侵害で問題になることもあるが、「一定の主観的な編集方針が問題になることが多く、ストリートビューは無機質に全部とらえるという点で異なる」と壇さんは話す。

 これ、論点がよくわかんなかった。「根拠なし撮影がアウト」だったら、悪意があろうとなかろうと「根拠なしの撮影」はアウト*5なんじゃないのだろうか?

八田さんは「アメリカの家は前庭があるから、道から撮影しても表札や家の中は見えづらい。そのあたりを汲んだサービス設計をすべきだったのでは」と指摘する。その一方で「プライバシーを言う人は若干自意識過剰ではないか。『気持ち悪い』という意識は、明治時代に『写真を撮られると魂を抜かれる』と言っていたのと同じに聞こえる」と皮肉った。

 そうですか?
 おいらはストカー問題で、標識の見落としとか歩行者の進路妨害とか、そういう細かい行為もあげつらおうかと思ったんだけど、どう見ても見落としとは思えない*6一件を除いて明示する事をやめにした。

 こまごまとした写真が特定されたら、Googleは撮影したドライバーも特定できる。そういう事につながるかも知れない事を捜査機関でなく、明確な被害者でない私がやっていいかどうか、よくわからない。

 自動車を運転する人が違反して検挙されないというのは良くある事だ。自動車の運転状況を網羅的に監視され、記録されたら誰でも気がつかずに、あるいは気がついてても、違反の一つや二つ*7出てくる可能性が高い。
そういうふうに自分がやられたら気持ち悪い。
知らない間にやられたら
魂抜けちゃうかも
しれない。
だから他人にそういう検索をかけるのも気持ち悪い。当事者でなければそういうプライバシーに踏み込んではいけない気持ちになったけどね。

ところで、
 http://eigonihongonews.blog110.fc2.com/blog-entry-88.html

Google Says Privacy Doesn't Exist, Get Used To Everyone Knowing Everything About You
『プライヴァシーなんて存在しない。世間は君のすべてを知っていると言う事に慣れなきゃいけない。』とグーグルは言っている。

わけです。
でも、そういう会社がプライバシーに配慮するという前提でMIAUシンポ参加者の皆さんは話を進めようとしているように見える。
存在を認めてないものに人はちゃんと配慮できるもんだろうか?そもそもプライバシー*8の存在を認めてないから、撮影機材の高さにも私道や私有地への進入にも無頓着なんだろうと私は理解したけど?*9

 正直、私はストリートビュー的なサービスはとても面白いものだと心底思ってる。何の役に立つのか、と聞かれたら「俺の役に立つ。おもしろいもん」と言ってもいい。

 でも、現行のストリートビューは自分の規範で「やっていい事」の範疇には入ってこないし、思考停止してないでちゃんと考えないと「やっていい事」には成長できないような気もする。

あと、個別的なサービスに要求される失敗率と網羅的なサービスに要求される失敗率とはおそらく全く違う。googleのサーバーをダウンさせない事と、自宅のあまり使わないパソコンがハングアップしないようにする事との違いぐらい違うんじゃないかな。

それなりにややこしい事だと思う。*10

*1:ところで、少数の人だけが迷惑に思う事は「問題ない」んでしょうか。この規模の事業なら1%の人が迷惑に思ったら十分失敗じゃないでしょうか?

*2:私道って書くと意味が不明確だから

*3:もちろん、事前でも事後でも許可されてれば、問題なしなんですが。

*4:テーラーが「急速に太った事に気がついてなかった客」に言う決まり言葉を借りた。

*5:しかも公開の有無に関係なく撮影時点でアウト

*6:公安委員会によるとおぼしき四輪車通行禁止標識があり、親切にも車止めも設置されていて見落としはほぼありえない、さらに、許可を得て通行/撮影した可能性だってあるかもしれないけど、所有者のwebページに施設として明記されてるから私道であり、Googleが自ら発表した方針に従わずに許可をわざわざとったとしか思えない。

*7:三つ四つ....たぶんたくさん

*8:あるいはプライバシーの価値

*9:追記:「世の中に破れない金庫が存在しないので金庫破りはつかまっても償いをしなくていい」なんてロジックはよくわかんないんだけどね。

*10:それにしても「おごちゃんのいうとおり」すぎて腹立たしい。