原因はそこではないような
西成氏が朝のニュースに出て渋滞学の説明をして、例によって車間距離の大切さを説いていた。
論拠として実際の高速道路の動画が提示されていたが、その説明は???だった。
まず、立場の違いを明確にしておく。
車間距離は自分と前方の交通の命に関わる問題であって、渋滞がどうだろうと確保しなくてはならない。
と考えているので、必要な車間距離についての差異があることを認めるけれど、たとえ「十分な車間距離をとると渋滞になる」*1ような事実があっても確保すべきと考えている。
西成氏が
- 車間距離を維持せず走行を継続しようとして
- 前車の動きに対応できず
- 急激に減速
- 渋滞発生
と説明していた。
しかし、映し出された動画では
- 追い越し車線は車間距離5-10mの過密で速度不安定
- 走行車線はスムースに流れている
という状態から
- 追い越し車線から走行車線への危険な車線変更
が出てくるようになって
- 走行車線追い越し車線ともに速度不安定
となり、
- 渋滞発生
となったようにしかみえない。
映像を見た私の感想は
- スピードコントロールができない車が選択的に追い越し車線に集まっている
- 追い越し車線から走行車線への低速での車線変更によって走行車線の車間距離がつまり速度が不安定化した
「上り坂に連続する平坦区間ないし下り坂区間」から「上り坂」に推移する緩和曲線では普通に毎日起きてる現象だとしか言えない。
上り坂区間から平坦区間になったときや下り坂区間で、アクセルを踏みっぱなすとエンジンが余分の出力を出す。すると余分の出力の積分値に応じて速度が上昇する。スピードコントロールできる車はアクセル戻しているので、加速しない。大抵のスピードコントロールができないドライバーは追い越しをかける。
この過程で追い越し車線には速度が制御できない車成分が濃縮されていく。これを僕は「マジェスタの篩」とよんでいる。*2
次に上り坂区間に入るとエンジン出力が不足する。アクセル踏みっぱなしでは不足した出力の積分値に応じて速度が低下する。後方では加速と追い越し車線への車線変更が頻発しているので、追い越し車線の密度は上昇する。これを僕は「ベンツのコンプレッサー」と呼んでいる。*3
この上昇した密度から逃れようとすでに走行車線の方が速く流れているにも関わらず急激に走行車線へ車が戻り始めると、渋滞の完成につながる。
車間距離を開けようと思えば、前の車より速度を下げれば開く。当たり前の事だが。しかし、速度のコントロールができない車に向けてそれを言ってなんとかなるもんだろうか?