情報の値段

4bitの情報が数千円で取引される事がある。
一例は皆さんが八百屋やスーパーで購入する果物が入っている選果場の段ボール箱である。
この選果場の段ボール箱、意外に高く、これに果実がつめられるために、豊作の時には生産農家の手取りに匹敵するお金が支払われる。それは良い段ボールを使っているからだけではない。側面に記載された「優 秀 良 無等級」「M L LL 規格外」などの情報にコストを支払うために高くなっているのである。
 選果場の機能は、一定の基準で品質を保証する4bit程度の情報を段ボールに付加して包装することである。この情報を作り出すために1.生産者による選別、2.選果場への集荷・検査、3.包装・出荷という段階が踏まれ、いわゆる段ボール代というコストがかかる。
農林水産省の「平成15年食品流通段階別価格形成調査(青果物調査)結果の概要 」
http://www.maff.go.jp/toukei/sokuhou/data/dankaibetukakaku2003/dankaibetukakaku2003.pdf
によれば、東京・大阪の卸売市場におけるいちご100kgの卸売価格の平均は100,245円。そのうち12,391円は出荷運送料および卸売会社手数料、27,463円は集出荷経費となっている。
八百屋さんが苺10kg(4パック入り10箱)を一万円で仕入れると、2750円をこの4bitに支払い、標準的な粗利率25%で販売すれば250g入りの苺一パックは333円だから、苺の値段のうち68円(20%)は選別費となっている訳だ。
 いや、何となく1bitあたりの取引価格が高い情報ってなんだろうと思って計算してみた。
 ついでだが、卸売市場で「どの苺が自分の欲しい苺か自分の目だけで選べる八百屋」にとっては不必要な情報であるし、消費者の目に触れるのは段ボールから出された苺パックであって、この情報は隠されてしまったりする場合もあるのだな。