証拠が出て一日で記者会見って遅いのかな?

今朝のニュースでも新聞でも行政や食品流通業者の対応の遅さが責められてる。id:finalvent氏によれば、一ヶ月前に最初の事件があったそうだ。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200801310099.html
中国新聞「なぜ消費者に伝えない」 最初の異変から1カ月 '08/1/31

 中国製冷凍ギョーザから有機リン系の殺虫剤が検出され、兵庫県や千葉県の十人が次々に中毒症状を起こしていた事実が三十日、表面化した。最初に千葉市の家族が異常を訴えてから一カ月。この間、自治体や厚生労働省の連携はなく、事態の公表もなされなかった。

厚労省などによると、最初の発生は昨年十二月二十八日。冷凍ギョーザを食べた千葉市内の母子が下痢や嘔吐おうとなどの症状を訴えた。こうした事態が表に出ないまま、一月五日と二十二日に、兵庫と千葉の八人に同様の症状が起こっていた。
 厚労省が一連の事案を把握したのは今月二十九日午後九時。ジェイティフーズを所管する東京都からの連絡だったという。

 市川市でも五人が発症という事態を千葉県が知ったのは今月二十三日。吐瀉としゃ物や便を調べたが、細菌性やウイルス性のものは検出されず「むしろ事件性を疑った」(担当者)という。その時点で県としての調査は事実上ストップした。
 警察庁によると、兵庫県警と千葉県警科学捜査研究所(科捜研)が有機リン系農薬のメタミドホスを検出したのはいずれも同二十九日。三十日になってそれぞれ警察庁に報告があったため、厚生労働省に連絡、被害が広がる恐れがあるとして公表を決めた。

 たぶん、我が国では農業目的の使用が認められていないのでメタミドホスは農薬ではない。また防疫用殺虫剤として使用する事が認められていない。農薬でも防疫用殺虫剤でもないんだから、農薬とか殺虫剤と言ってはいけないだろう。毒物及び劇物取締法の範囲で対応する話なんだから「殺虫目的で用いられる事がある毒物」ということになるのではないだろうか。

 毒物や農薬や殺虫剤が食品に混入するということは、どんな国だって故意か重大な過失なしには起きないだろう。だから、業務上過失致傷という事件性はあるわけだな。

 保健所は、よくある食中毒を発見して行政処分を通じて被害の拡大を防ぐ力はもってる。だけど、重大な過失でおきるような事に対応する能力はないだろう。
 下痢や嘔吐が発生したとして、複数人が同時に食後に、であれば食中毒を疑うのは正しい。しかし、原因となった食品どころか、食中毒かどうかですらエビデンスがなければ判定できない。細菌やウィルスは見つからなかった。殺人未遂の可能性も、毒ガスによる被害の可能性もあって、警察に回って、29日に研究所レベルで毒物検出された。で、30日に大騒ぎになったと。
 最初の異変から一ヶ月とはいえ、毒物検出当日に千葉県、兵庫県厚生労働省、東京都が情報共有している。*1

 本気で保健所から警察に「動いて下さい」というためには刑事告発することになるのだけど、それに足りる「証拠」は保健所にはなかっただろう。とすると、情報提供して判断を仰ぐということになる。で、千葉も兵庫もちゃんと捜査機関に引き継がれて保健所/地方自治体側は結果待ちになる。刑事告発がなければ警察では優先的に分析するわけにいかない。サンプル持ち込みから結果が出るまでは兵庫と千葉で随分差がある。ほかの事案の隙間の時間に作業を進めたかもしれない。
 一日でもはやく公表して被害を防がなくちゃいけないという事がわかったのは結局29日なのにこの騒ぎ方はなんなのだろう。

変死体の死因究明をろくすっぽやってないこの国では、いままでにボロボロ人が死んでても気がついてなかったかもしれないんだぞ。

*1:東京都も厚生労働省も午後九時に席にいたわけね。