おいらの考える貨幣

1.貨幣の目的
 貨幣とは本質的には謝礼、賠償、弁償など、人間関係の清算を目的とする道具である。

2.物流と貨幣
 一般的に我々は「物を購入する」ように貨幣は物と交換すると意識する事が多い。しかし、我々が物と交換している「ように見える」約束事があるだけである。たとえば家を建てようとして材木を購入するとき、我々が支払うのは「必要な場所まで木材を運搬するサービスについての費用弁償と謝礼」「良好な木材を選定する能力への謝礼」「山で木を切り、貯木場で調整し、製材所で製材するサービスへの謝礼」「木を植える行為への謝礼と費用弁償を木を植えた時点で負担した人への謝礼と弁償」「土地を数十年にわたって提供した人への謝礼と費用弁償」などに分解される。物そのものは貨幣を受け取る事はできないので、実際には物に貨幣を支払う事はない。物を受け取る時点で、貨幣を引き渡し、その物に関係する人間関係を「清算する」のである。このような機能を貨幣に持たせるためには貨幣は足し算のできる数値的な体系をもつ事が要求される。

3.貨幣と金利
 社会的な人間は、人間関係を清算しないと生きていけない。出資や融資は優先して清算したい関係を清算するために貨幣を必要とする人のために、一定期間貨幣を提供するという特別の人間関係である。この特別の人間関係の清算をスムーズにするために、提供した貨幣の量に応じた貨幣を要求する。これが金利である。このような機能を貨幣に持たせるためには貨幣はかけ算のできる数値的な体系をもつ事が要求される。

4.貨幣の管理
 社会の発達に伴って、より広い範囲の人と人間関係を清算する必要が出てくる。最初は貝殻や磨いた石がそれを制作する労力に応じて貨幣として用いられていたとしても、貝殻を拾う労力を知らない人、石を磨いた事のない人にはその価値はわからない。そこで、地上のほとんどの場所で珍奇で物珍しい貴金属類が貨幣として用いられるようになった。
 権力者が勢力範囲内での人間関係の清算を円滑に行われるようにしたければ、貴金属の純度などを管理する必要があった。また、貨幣が不足すると社会の人間関係が清算しきれないことになり資源の分配や分業に支障があるため、社会のあり方に対応するだけの量の貨幣を社会に供給することは権力者の重要な義務となっていった。

5.貨幣の仮想化
 本来人間関係の清算以外に用途のない貨幣であるので、貴金属を貨幣とする必要はない。そこで、紙に印刷を施したものを「貨幣とする」と権力者が指定することによりローコストで管理できる貨幣が実現された。