それができないから不動産屋がある。

「私に、あなたに、構造欠陥は見抜けるか?」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20070508/124346/
続きを見るのにユーザー登録を求められますがhttp://news.goo.ne.jp/article/nbonline/business/nbonline-124346-02.html
で読めるようです。

連載開始後、一部の読者の方から「耐震偽装されたマンションのパンフレットやモデルルームを見れば『柱、梁の少なさ、細さ』や『安普請』は一目瞭然、騙されたのは購入者の『自己責任』とのコメントを頂戴した。

 確かに消費者が「転ばぬ先の杖」と建築の知識を蓄え、専門家にアドバイスを求めることは大切。一定のリスク回避にはなるだろう。

で、ヤバい物件をつかまされないためにユーザー側エージェントとして、あるいはヤバい顧客をつかまないように売り手側エージェントとして不動産屋を雇うのが普通である。

何しろ耐震偽装は、一級建築士をそろえた建築確認検査機関も歯止めにならなかったし、消費者のマンション選びをサポートする会社に依頼してさえ、危険を察知できなかった例も個人的に知っている。素人にはとても太刀打ちできない。

そうですか?ヒューザー物件については全ての物件がユーザー側エージェントが不在ってことで、医者に例えれば院外処方を一切せず、薬剤師をおかない開業医みたいな存在ですよ。不動産業界的に設計図見る前からヤバいです。処方内容を吟味するべき要注意物件である事は確かではないでしょうか?
 医師程度の事故率ならともかく、建築物には意図的でない瑕疵がつきものです。が、売り主で施主で販売事業者であるヒューザーの場合はどうやって瑕疵をリスク分散してるんでしょう?
 こういう所で例示に上げられたら迷惑かもしれませんが、仮に私鉄系マンションだったら売り主は本社、建設も販売もグループ企業という事もよくあります。しかし、それは業様に対してマンション販売の割合が低くて1企業集団だけでリスク分散できる体制が整っているからでしょう。あるいはすでに瑕疵でどのぐらいの損害が出るか、保険統計が出せるほど実績が蓄積したマンション専業会社でもある程度のリスク分散はできてるでしょう。
 で、意図的でもそうでなくても瑕疵がつきものの建築物を、リスク分散なしで売るわけですよ。偽装見抜けるかどうかが問題じゃない。「走り続けないと倒れちゃう」+「走り続けられてるのは運がいいから」状態でしょう。
 何のために不動産屋にお金をはらうんですか?不動産屋にリスクを肩代わりしてもらうためでしょ?それを受け取る資格がリスクを肩代わり出来ないヒューザーにはない。
 で、繰り返すけど、建築には瑕疵がつきものです。瑕疵がつきものなのにリスクの引き受け手は買い手しかいないというヒューザー物件はヤバくないとどうして思えるのでしょう?
 柱の太さ見る前からヤバいじゃないですか。重要事項説明書は最初から紙くずですよ。

共通の指標の公開が必要

 しかし、マンションの販売現場では営業の人が、「すぐに買わなければ売り切れてしまいますよ」とプレッシャーをかけてくる。あれこれ注文をつけにくい状況になりがちです。建物の安全性がこれだけ問題になっているのだから、デベロッパー自らが、情報開示する姿勢を見せてもいいのではないでしょうか。

いくら情報開示してもデベロッパーの情報開示では何の保証にもならない。ユーザーのリスクを肩代わりし、デベロッパーの情報開示の不足に突っ込みを入れ、きちんとユーザーに説明できるかどうかだ。実際には同一企業集団による販売でも宅建主任が「私はユーザー側エージェントとして最善の努力をします」という誓約をくれたりするし、きちんとデベロッパー部門と切り離された人が対応してくれてるよ。

「すぐに買わなければ売り切れてしまいますよ」とプレッシャーをかけてくる。

着手金を払って商談中になっている物件でこれを言われたら直ちに着手金を返してもらった上で違約金をもらって帰りましょう。着手金を払ってないのなら不動産販売業者として重大な信義上の疑義があるのだから契約を見送りましょう。どうしてもそのマンションが欲しければ自分で不動産屋さんを雇って同行しましょう。

あとですね、建設業界では「一般的な工事単価に対して安い」=「十分な説明*1がない限りリスキー」ととるのが普通です。なぜなら建築は労働集約的な産業で、技術のない職人を雇えばいくらでも手抜き出来ちゃうからです*2
 そういえば、株主総会に出席してみたくて、初めて行った先が「ヒューザーの関与していないアネハ物件の耐震偽装」被害企業でしたが、発覚前から株主総会で「格安でも安全の根拠」を追求されてましたよ。

*1:それまで施工に職人を使っていたが、人足で安全に施工出来る工法であるとかです。

*2:追記:画期的な新工法を開発して他者より安く売る目的でつかいますかね?なんか「元手なしで安全確実に儲かる方法」の同類じゃないの?