非常に些末なダメな議論
瑣末だし、そんな事知ってるのはオタクだけだよ、みたいなとこを見つけちゃったので、ちょこっと指摘してみる。
「ゼミナール経済政策入門」(1版1刷)の145ページ
たとえば公園は柵などを設けて価格を支払わない人の消費を排除できますから,私企業が供給する事が可能です.しかし、政府も公園を供給しており,その場合,公園は準公共財と呼ばれます.
非常に米語的に「park」=「公園」として例示を立てているように見えるが、日本語の公園は英語の「public park」の訳語である。英語のpublic parkというのは、歴史的には一般的に柵などで閉鎖されているparkが公衆に開放されたものである。parkは閉鎖された私有管理地の意味で、日本語訳では園地と言う。*1
たとえばgame parkは狩猟を楽しむ園地で、その管理人がgame keeper*2。英国の園地のうちでは王室に属するroyal parkが広大であったが、狩猟用の他、巨木を長期的に育成して高価な値で売るなどの事業も行われ、風車で粉がひかれ、木造船が軍艦の主流であった時代にはroyal parkなしにはパンも軍艦もつくれなかったらしい。*3
このようなparkの王室ないし貴族による独占管理という「消費の排除性」をなくして、一般の人に開放したものがpublic parkなのであって、明治時代の我が国でもこれにならって皇室財産や官有地の公園化が積極的に行われている*4。
アメリカにはparkの歴史がないからpublic parkとparkに意義の違いを見いだしにくいかもしれない*5。が、英国と日本にはそれなりの歴史がある。
とりあえず、日本語の公園や、英語のpublic parkは「消費の排除性」と原則的には両立しないですよ。