公共経済学の準公共財の解説における公園の例示について

グーグルで検索してみると、準公共財の説明として公園を使ってる例示はかなり多いですね。
すごく一般的のようです。

独占的な財産としての園地を公開することにより公共の福祉が増大するという事が広く一般に受け入れられたために公園が成立してきたわけですが、どうも座り心地がわるい説明のような気がします。

http://www5.cao.go.jp/seikatsu/koukyou/explain/ex04.html

プールや劇場の利用者が増加すれば混雑が発生し、そのサービスを受けることができない人々が出てきます。つまりある一定の限界を超えるとこれらのサービスは消費の非競合性を満たしません。つまり、公共財の性格を持たなくなります。こうした準公共財の例としてはその他に、映画館、公園、道路、などがあります。
 こうした準公共財の供給は、(純粋)公共財とは違って、公営、民営の区別を行う特定の基準は存在しません。だから、プールは公営、民営のいずれもあり、また公園も国立公園があったり、民間の公園もあります。財としての性格は同じであるので、映画館が公営であることも可能であるし、公園がすべて民営であることも可能である(もっとも、公園が準公共財としての性格以上のもの、たとえば生態系の保護などが求められることなどがあれば別です)。

「公園も国立公園があったり、民間の公園もあります。」
 民間で公園を自称している所と言うと、清水公園チボリ公園くらいしか知らないなぁ。チボリ公園は経営破綻した遊園地で、公園ではないのだが。
 清水公園は個人が公共事業をするつもりで自分の庭園を一般公開した私設私営公園ではあるけれど、公園として公的に認められ、公的資金も投入されている。珍しいケースだろう。また、公園内の施設や遊具を使用したりしない限り、出入りは自由で料金もとられない気がする。例示として適切だろうか?あとの民営園地はたいてい遊園地の類いだ。それが公園なら京王百草園とか拝観料とって庭見せてるお寺は全部公園でしょうか?(追記:清水公園は入場料とってた。総合公園と一体的に整備されていて、全体としては普通の公園に見えるのだけど、民設民営部分は有料。)

 国立公園は景観の公共的な価値に着目して地域を指定するもので、園地も営造物も基本的には必要ない*1。公園内には住んでる人も、仕事してる人も、私有地もあって、だだっぴろいし出入りは自由だし。景観の維持には生態系の保護も必要になるから文句なしに公共財なんじゃないかな。

 ひょっとして国営公園国民公園とまちがえたのかな?国営公園は園地のある営造物公園だけど、例えば昭和記念公園は、昭和という時代の記念事業として建設された「平常時は運動や散策に使える巨大防災施設」だよ。国民公園は皇居の一般公開区画だしなぁ。

 中小規模の公園についても、関東大震災後には都市には中小規模の公園がどうしても必要だって事で配置が決められているわけで、単にコドモの遊び場として配置されてるわけじゃない。児童公園については実は「コドモの遊び場」として公園でなく遊園地として設置されたものが結構ある。*2でも、これも公園が児童遊園を兼ねられるように、混雑が発生しないように系統的に設置されることになってるわけで.....もっとも今じゃ児童公園じゃなくて街区公園と呼ばれているが。

 そもそも高密度の都市には防災や環境維持のためにどうしても空地が必要で、空地を公共が確保しなくちゃいけない*3。空地を園地として確保するのならどうせなら公開しましょってのが公園なわけで......逆に公園であれば少なくとも公共緑地なわけで、準公共財以上のものと認められないものが公園になってるケースって具体的になんだろう???

*1:地域性公園と呼ばれます

*2:公園は内務省管轄、児童遊園地は厚生省管轄で設置目的も大分違った。

*3:公的、制度的に確保された空地を緑地といいます。