mixiの規約改正(または「バカで悪かったな」)

mixiが規約改正を企画している。
有名サイト、たとえばhttp://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51012865.html*1でも触れられているようで、中でも外でも大騒ぎになった。3月3日はmixiの誕生日で、オープンになってから一年以内くらいまでのユーザーは去年までは「mixiお誕生日おめでとう」という日記をあげている人が多かったのだけれど、今年はそれもまばら。


特に議論の焦点になったのは

第18条 日記等の情報の使用許諾等

1. 本サービスを利用してユーザーが日記等の情報を投稿する場合には、ユーザーは弊社に対して、当該日記等の情報を日本の国内外において無償かつ非独占的に使用する権利(複製、上映、公衆送信、展示、頒布、翻訳、改変等を行うこと)を許諾するものとします。
2. ユーザーは、弊社に対して著作者人格権を行使しないものとします。

文面としては新聞への署名記事の執筆依頼がきたときの契約書面の文言に似ているので、新聞社あたりからのコピペなのではないかと思う。
面白いのはリンク先で比較されている他の各社も同様の規約改正を試みて、いずれも導入に失敗し、工夫改善し、現在の規約に至っているということ。
mixiの法務も顧問弁護士も取締役も何も学ばず何も考えずに新聞雑誌業界の契約書から適当にコピペしたこの条文をスルーしたのだろうか?


http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/04/news086.html

 ミクシィの広報担当者はこれに対し、「ユーザーの日記などの権利は従来通りユーザー自身が持ち、書籍化も、ユーザーの事前了承なしには進めない」と釈明。その上で、新条項を追加した意図について、
(1)投稿された日記データなどをサーバに格納する際、データ形式や容量が改変される(ユーザーの著作者人格権《同一性保持権》を侵害する)可能性がある
(2)アクセス数が多い日記などは、データを複製して複数のサーバに格納する(ユーザーの複製権を侵害する)可能性がある
(3)日記などが他ユーザーに閲覧される場合、データが他ユーザーに送信される(ユーザーの公衆送信権を侵害する)可能性がある
――など、厳密に著作権法を適用した場合に、ユーザーに無断で行うと法に抵触しかねないデータの複製や改変について、規約で改めて規定した、と意図を説明した。
 同社は今後、利用規約をユーザーに分かりやすい内容にすべく検討していくとしている。

「ユーザーに分かりやすい内容にすべく検討していく」とのことで、mixiの広報によれば「ユーザーの頭が悪いのがいけない」らしい。

私は、考えている事を条文に表現できてない、あるいは考えてなかったようにしか見えないのだが。

mixiは上場会社で、その支配権は市場で売買されている。「ゆびとま」の事例を考えれば、ある種の買収者にとってこの条項が適用される日記は非常に価値の高い含み資産になるだろうね。株価が上がればそれでいいのかもしれないが。

こういう条項のある契約書は基本的には信頼関係のある企業と執筆者の間で交わされるものだろう。規約で善管義務を否定しながら、一回でも利用したらこの条項に合意したと見なすという一方的に都合よい押し付けは公序良俗に反する。公序良俗に反する書き込みを禁止するとした規約が公序良俗に反するというのは笑い話にもならない。

わたしはmixiとはそのような信頼関係にはない。

前にも書いたように、mixiの日記はユーザーに無断で運営が改ざんしているという噂があるし、他の会員とやりとりしたメッセージも消去されたりする。こういう事について中で議論すると規約改正の適用前にIDごと消されてしまう、という証言も出ている。
誹謗中傷の類いの可能性もあるが、自分の周辺の動きを見る限りあながち嘘ではない気がしている。

嘘ではない気がしている理由の一つは、mixiの規約はそのような噂がたったあとしばらくすると、そういう行為を正当化するように露骨に改変されて来た。*2だからそもそも規約に信頼がおけない。

今回は、「プロの文筆家の『マイミクだけに見られる日記』の内容を買い取って出版しようと、買い取りを持ちかけて蹴られた」という噂がたっているが、噂を耳にしたのが規約改正発表のあとだった。これが規約改正にかこつけた誹謗中傷なのか、そういうことが実際にあったのかは定かではない。もし本当なら最高に失礼な話だ。

mixiの魅力のひとつはある種の能天気さにあったと思うのだが、魅力を発揮するTPOを間違えると実に興ざめといったところだ。

IDごと消えたり、改ざんされてはかなわないので、外に書く事にする。

*1:大変わかりやすく、各社の規約を比較していて助かりました。

*2:たとえばパトロールして監視されてるというのがユーザーにバレてから「監視できる」条項を付け加えるとかだね。