景気と市場

http://d.hatena.ne.jp/koiti_yano/20081222/p1#20081222fn1

「ここ3ヶ月の世界の激変には目を見張るものがある。」というのは大きな誤解で、経済統計を見る限りでは世界の変化(景気減速)は2007年前半から2008年末の約2年間にかけてゆっくりと起こってきたと考える方が妥当です。

これは深く同意します。今月の全米経済研究所の発表によれば、アメリカの景気後退局面は07年12月から、という事なので、日本の方が先に景気後退に突入してるわけですよね。
 少なくとも日本は景気後退で先行していたわけで、「サブプライム問題に端を発した世界同時不況」の中にあるという修辞は非常にミスリーディングな気がします。不景気に追い打ちをかけられているわけです。
 こーぞーかいかく(棒読み推奨)*1による需要ぶっつぶしがなければ、もう少し好況が持続したか、山が大きかったかな、なんて思うけど。

 で、07年12月からの景気後退を判断するのに、全米経済研究所がなんでこんなに時間をかけてしまったかというと、今年上半期の景気が良いように見えたかららしいです。

ふと考えると、
http://www.bloomberg.com/apps/cbuilder?ticker1=BDIY:IND
とかが興味深い。
これ、バルチックドライインデックスのチャートなんですが、バラ積み船の用船コストの指標です。景気が良くて鉄鉱石、石炭、穀物の貿易が活発になると空いている船が減って上昇して、景気悪くなると下がる。

 2008年年初まで景気減速に従って順当に下がっていたわけですが、2月(1/30から急騰)から6月までのピーク、これ、なんだったんでしょう?オリンピック?その時期から船で原料輸送して製鉄しても8月までに完成する建物には使えないですよね。
 サブプライムの表面化でアメリカ経済は沈みかけてたし、オリンピック特需には間に合わないし、日本は鳴かず飛ばずでユーロ圏は内向きだったけど、鉄鉱石、石炭、穀物の荷動きはえらく活発だったわけです。

 なんか好景気のこだまが返るような、妙なネジレた投資*2の失敗があったように思うわけですが........


 ついでに書いとくと、この12月はバルチック指数(Dry Index)がなんとなく底っぽい値動き、加えてケープインデックスが上昇して、今は最安値の1.5倍くらいになってますね。パナマックスはまだ上げて来てないようですが、ショックで投げ売り状態というのは収まったのかもしれません。このまま上昇に転じると信じているわけではありませんが、悪いニュースではないと思います。

*1:財界と政府による後先考えないちゃぶ台ひっくり返し攻撃

*2:というか投機