幅が.........足りない.......

作業中のクレーンは、上部の吊り下げ機構が下部の支持機構の上で旋回する。
従って、転覆を避けるためには縦方向とともに、横方向にも有効な幅が必要だ。

ホイール式のクレーンではアウトリガーを延ばして支持するが、クロウラー式の場合はクロウラーの幅を広げて支持する。

クロウラーの接地する有効長に匹敵する幅がないと、有効な支持は期待できない。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090414-OYT1T00452.htm

今日の悲惨な事故の写真を目にして、なんじゃこれは!となってしまった。

作業中のクレーンの写真にしては幅が狭すぎる。

(訂正:幅が狭いように見えただけ、と判断しました。幅が広く見える画像もあるので、考察の部分を薄くしてあります)

たとえば代表的な104トンのクレーン式掘削機ではクロウラーの有効接地長4880mmに対して作業時のクロウラー幅は4500mmである。作業時以外には3350mmの幅にクロウラーを収納できる。上部の幅が3100mm、作業時にはクロウラーが大きく上部から張り出していなくてはおかしい。

mixiでつぶやいたら、↓の写真を教えてくれた人がいた。
http://mainichi.jp/select/jiken/graph/20090414_2/16.html
これ、クロウラーを収納したまま作業したように見えるよなあ。
追記:
規定荷重(6.5t)を超える資材(7t)を吊っていたらしいとテレビが言っているが、だとすると「代表的な機種」なんだな。悪いが6.5tは一本吊り時最大荷重で、補助つり上げ荷重は13tある。ブーム角にもよるけどワイヤが切れたとか荷崩れしたとかならともかく、7tで横転されちゃ困るよ。

追記2:
見た目の違和感だけの話。横転したクレーンをよく見るわけでもないので、横転によってクロウラーが収納位置に戻ってしまう可能性*1については検討してなかった。

追記3:
http://mainichi.jp/select/jiken/graph/20090414_2/2.html
↑の写真で、横転する前にクレーンがあったと思われる位置の右側が撒水されている。
作業半径外からクロウラーの方に撒水したものと思われるけど、よく見ると撒水された領域の左端が左右方向に圧縮したコの字型のような形をしていて、そのくぼみの幅は敷鉄板*22枚半くらいに見える。
クロウラークレーンが作業中であればフルに敷鉄板の幅3枚分でいいと思うのだが。

追記4:
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009041502000208.html
うーん、↑の図のアイコンの位置に中心が来るならブームの付け根からケーシングが15mほど離れてる事になるけど、写真からはそんな位置にクレーンがあったとは思えないんだけどなぁ。これだと右側の濡れてる所に車体が少し出るようになるし、そもそもクロウラーも鉄板からはみ出る。転倒後の位置関係ではブーム付け根からケーシングの中心まで8.5mくらいに見える。起きてれば10mくらい?ブームを振り上げた反動で本体が動いたのだろうか.........

捜査一課によると、今回のケーシングの重さは一〇・五トン。クレーンを製造した「日立住友重機械建機クレーン」(台東区)によると、クレーンの最大荷重は補助つり用ウインチのワイヤを二本使った場合は十三トンだが、ケーシングからの距離が九・四メートル以内(アームの角度七三・三度以上)であることが条件。距離が一〇・九メートル(同七〇度)なら最大荷重は九・二トンに減り、一三・一メートル(同六五度)なら五・五トンにまで落ち込む。

でもなぁ、製造検査では悪条件下で最大荷重の1.27倍吊れなきゃ不合格だしなぁ。

写真を台形変換してみようか......

追記5(追記2に関連):
油圧機器だから、油圧が失われた場合、逆止弁が働いて勝手に動く事はないはず。また、逆止弁は必ずつけないといけないようだ。そりゃそうか。上部構造と下部走行体の間の油圧系統に問題が発生したとたんに本体がフリーになったら怖いもんね。
 というわけで、縮めたのでなければ、輸送用の状態で作業したと考えられる。
ちょっと「クレーン」と「横転」で画像検索した。
横転して、それぞれいろいろな理由で送検されているのだけれど、アウトリガーが伸展されてないものとクローラーが展開されていないもの大杉。でも理由は地盤が悪かったとか、荷重オーバーとかと説明されてる。

大型クレーンって、アウトリガーが最大幅で展開されてなかったり、クローラーが規定の幅になってなければ、吊り荷なんぞなくても横転できる重機じゃないんですか。*3

業務上過失での追求って、結局過去の行為への報復だけで、未来の安全の確保にはつながってないんじゃないか?

追記6:
今日現場検証が行われたらしい。
http://mainichi.jp/photo/graph/20090417/28.html

現場検証中の写真は4.5m幅だね。

横転中の写真も、計測してみると4.5mに見えるものもある。
でも、↓の記事の写真のうち、横(おそらく向かいの建物の二階)からの写真は、ちょっと4.5mには見えない。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090414-OYT1T00452.htm
後ろのコンテナの一段目の高さはおそらく2.9m。(左のが2.6mかな 追記:コンテナの高さを標準の2.6mで考えたのが間違いのもと。ついでに現場検証写真で右のクロウラーが脱輪しているね。)

いずれにせよ、見間違いのおそれの高いいい加減なエントリだな。これは。

追記7:
一応
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090414-OYT1T00452.htm
からクロウラー幅760mmを元にして作図で求めてみた下部走行体の幅は3300mm〜3900mmくらい。合ってるかどうかは知らんけど。

*1:油圧で伸展するならエンジン切れば縮むかもしれない

*2:1524mm幅と思われる

*3:そういう事故もあったみたいね