報道の中立性についてのある疑問と考えうる回答

http://wktm.jp/archives/1412

全てのマスコミが公正中立でなければならないなどと誰が決めたというのか

一般的に決まってるわけではないかもしれないし、決まっているのかもしれない。

でも、そういう風に決まってるという人たちはいる。
個人では平沼赳夫氏とか安倍晋太郎氏はそういう事をおっしゃっていたように思う。

組織で具体的に「そのように決めた」、という人たちの事例を一つあげると「産經新聞社」だ。
http://www.sankei-call.jp/sankei.html

ここでは国際的中立と公正をひっつけて公正中立とうたって自社を広告している。
公正と中立をくっつけて公正中立と書くのはむしろ産經新聞独特の言い回しな気がする。
確か、産經新聞社には「新聞買わないと公正中立の報道やめるぞ、ドウダコワイダロウ新聞買えよ」みたいな記者ブログもあったと思う。

公正中立の「公正」の部分については新聞協会加盟全新聞社共通の綱領にもある。
http://www.pressnet.or.jp/info/seimei/shuzai/01rinri.htm

 正確と公正 新聞は歴史の記録者であり、記者の任務は真実の追究である。報道は正確かつ公正でなければならず、記者個人の立場や信条に左右されてはならない。論評は世におもねらず、所信を貫くべきである。

 独立と寛容 新聞は公正な言論のために独立を確保する。あらゆる勢力からの干渉を排するとともに、利用されないよう自戒しなければならない。他方、新聞は、自らと異なる意見であっても、正確・公正で責任ある言論には、すすんで紙面を提供する。

 一方、「中立」でなく「独立」となっているのは、多様な立場からの報道がありえる事に対する寛容さをもちあわせつつ、「権力からの独立」を重視しているからだろう。

朝日新聞社も内部向けの統制として独立と公正を保つように
http://www.asahi.com/shimbun/honsya/j/kisha.html

 記者は、自らの職務に誇りをもち、特定の個人や勢力のために取材・報道をするなど独立性や中立性に疑問を持たれるような行動をとらない。公正で正確な報道に努め、いかなる勢力からの圧力にも屈せず、干渉を排して、公共の利益のために取材・報道を行う。

という綱領を定めているようだ。

というわけで、一般的*1には「今まで与党であった」かのような発言は産經新聞独自の用語である「中立」であったかどうかを問題にするより、中立以前の条件である「独立であったかどうか」を基準として評価されるべきなんじゃないだろうか?

他社がどうかとかの情報が十分にあるわけでもないし、この一件を云々するつもりもないので、ここに私の評価結果をわざわざ書いたりはしない。
新聞社はいろいろな人々の評価の結果を受け入れればいいのであって、謝罪する必要はない*2と思う。

*1:新聞協会加盟報道機関という程度の一般性において

*2:権利はあると思うが...