そろそろ終わりにしたい著作者人格権の不行使特約

で、この種の特約に総合的に考えて無駄な訴訟を防ぐ以外の意味がないとおもっているかというと、そうでもない。
とりあえず、思いついた効能は、「特別の関係によって著作人格権を行使する事を停止している旨の明示」
特約付きの約束を交わした両者は、どのような利用を前提とするか十分熟慮の上で合意し、特定の相手とだけ不行使を約束しているという事が明確になり、契約当事者以外による人格権の侵害に対抗しやすくなるのかもしれないと思っている。

これと、誤って人格権侵害を起こしてしまった時に「いきなり訴訟」になりにくい特性をあわせると、契約者双方にとってメリットのある条項かもしれない。

発端となった2社のブログ規約については、もともとの状態であれば、私ならなんかあった場合に「無効」を主張したい状態だった。現時点では、少なくともはてなについては問題の「説明不足」=「熟慮の機会が不十分」は解消されつつあるので、ユーザーは単純に「この条項は無効」とは主張しにくい状態にあり、逆に運営側は説明内容に拘束され、この条項の濫用にはブレーキがきいている状態にあると考えている。

はてな運営側にとっての残された最大の課題は多分、初めて利用者になろうとする人にこの「状態」を理解してもらうテクニックの開発なんだろうと思う。

追記:
はてなについて、通常のサービス提供者であればこうあるべき、という意見は納得できる。彼らはもう十分に待ったのだから。はてなは、通常ではないサービス提供者であり続ける道を選んでいる気はする。はてななりの道があったとしても、通常のサービスプロバイダと必ず比較されるから、困難な道だろう。僕はまだたいして待っていないから、今は移転はしないが、理解を深めるために新規にどこかで日記を開設する可能性はある。