統計の悪用というほどもないんだけど

統計の悪用が簡単なのは有名な話なんだけど、「地域の経済2004」ってどうなんだろう。
新聞、テレビ、ラジオ各社はこぞって地方公務員の給与水準が民間に比べて高すぎるという調査結果が出たと書いている。
その乖離が、人事院などのデータに比べてあまりに大きいので調べてみた。

ざっとしか見てないので間違いがあればぜひ指摘をコメントしてほしい

図表見たら、図2−2−9のヒストグラムから読んで、民間企業(従業員1000人以上の地方のサービス業)が31社しか調べられてないように見える。
しかも元になった賃金調査には学歴別の集計とかがあるのに、こっちにはない。
民間の方が平均年齢が明らかに低い。その差は約3.4歳。
公務員は諸手当(通常は通勤交通費等も含む)込みの支給総額平均、民間の給与は一時金及び歩合給、残業手当等を除外した定期固定給のみ。
公務員は行政職のみ、民間は全従業員の平均。

つまり、どうも全学歴の平均で給与計算すると、大卒採用中心の地方公務員行政職の方が、ごく一部の高卒者を採用の中心とするサービス業の固定給よりもらってる、と書いてあるような気もするが、統計的な意味をもたないので予断にすぎない。
極端に平均給与が高い自治体があるが、これほどの差が発生するのは公務員の給与支給形態を見る限り、その自治体の職員が高齢化している以外には要因は見つけにくい。つまり、今後5年間で自動的に解消される問題であり、その自治体が採用を抑制することにより人件費総額を下げるという対策を講じている可能性を示唆する。

実際に地方公務員の給与が高いのか低いのかは知らないけど、これ、統計と呼べるものではない気がする(笑)。書いた人も公務員だと思うんだけど、法学部生にありがちな「公務員試験では、数的推理/統計/グラフ読解の問題は捨てる」タイプの人だろうか?

とりあえずは太田弘子さんという方が「地方公務員の給与は高すぎる」といいたかったらしい、というだけの事ですね。(本文の方には給与カットした自治体はエラい、やらないところは努力が足りない、と書いてあるみたいです。)

確かめたい人は↓でご確認ください。
http://www5.cao.go.jp/j-j/cr/cr04/cr04.html

マスコミって、最低限のデータソースの確認もしないんだろうか?
つうか、発表の中身読んでない?

追記:
公務員は諸手当込み、民間は固定給のみ、と書いてありましたので訂正しました。多少追加しています。
追記2:
自治体職員の高齢化がなんで起きるか書かないと物足りなかったので、追加しました。