匿名性とパソ通

どうもインターネットにおける匿名性の議論の場に行くと、声高に匿名性の排除を求めているユーザーにはいわゆる「パソコン通信」出身者が多いような気がする。過去のCompuserveやニフティやASAHIネット、MSNなどのパソコン通信は、運営会社の設置するコンピュータを遠隔操作によって使用する仕組みの事だ。
 しかも、MSNや日本の「パソコン通信」各社は随分後になってインターネットに運営会社のコンピュータを接続し、さらに遅れてユーザーのコンピュータをipリーチャブルにするプロバイディングサービスを始めた。
 僕自身は.jpができる前からインターネットユーザーで、「パソコン通信」の経験がほとんどないので、「パソコン通信」に匿名性があったとかなかったとか言われても、インターネットとはあまり関係ないと思ってしまう。それはインターネットに接続された一台のホストの利用方法の話に過ぎないからだ。
 インターネットはパソコン通信と違って、「完全でないことを前提にする代わりに、ユーザーすべてが改善の権利を持つシステム」だ。
 「パソ通出身者」に多い「インターネットに不都合な場所があった時にそれが誰かのせいであるかのような言いぐさ」は、インターネットの基本中の基本がわかってない証拠のように見える。
 もちろん、今日のインターネットユーザーすべてが日本語でのメイルコミュニケーションをJIS7bitコードに標準化して普及させたような改善の能力があるわけではないだろう。
でも、たとえば「プライバシーとトレーサビリティの両立できる手段」の規定を作っていくことを能力のある人にコミュニケートしていく努力をするくらいの事はできるのではないだろうか。