[新しい国のかたち「二層の広域圏」を支える総合的な交通体系最終報告]をざっと見て

bewaad様に新しい資料をご紹介頂きました。出来損ないの議論におつきあい頂いて心よりお礼申し上げます。*1
 上記リンクの先には、bewaad様が地域実態と計画の乖離や着想上の問題点の指摘を書かれていて、興味深く読ませて頂きました。おそらくはbewaad様と見ている対象が違うので、コメント欄ではなく、エントリで対応させて頂きます。
 資料について「富士山の山頂を境に国有林の少ない北斜面は共生圏で国有林の多い南斜面は生活圏」なのはプレーヤーとしてなんか考えてないか?とかは置いておきましょうね(笑)。

 いわゆる五全総こと「21世紀の国土のグランドデザイン」を噛み砕いて具体化する文書の一つと位置づけて、ざっと概要を読んだ感想から入ります。
 どうして国土計画から地区計画まで一貫してすべての計画が交通主導かと考えると、単純化しやすいからかもしれないと思いました。これまで同様に交通主導での国土デザインを継続しようとすると、どうしても考え方が一次元的になってしまいますね。人文地理学者ならおそらく5-6層の階層構造をみてとれるであろうものを二層に複雑化しました、といわれると、ああ、一層に単純化してたんだ、というのがバレてしまいます(笑)。>国交省

 ざっと読んだ時に私が考えたのは層ではなくて、相(phase)の問題です。どのような公共の介入が必要か、それはフィジカルにどんな姿をしているのか、という事をヒントに3相構造で考えてみました。

広いDIDを持つ中心都市では整備対象は「面」=二次元的な形をしているはずです。これを無視すると先述の近郊部の交通問題のような罠から逃れられません。(参考:拙ブログ

これに対して、生活圏域では「線」=従来通りの一次元の形を取り得ます。

そして公共の介入が連続的な形を取り得ない共生圏では、国土保全を除き部分的かつ最も有効な箇所への「点」=0次元の形にならざるを得ないということでしょう。

 共生圏でも積極的にできる事はたくさんあります。例えば、救急医療では都道府県単位のドクターヘリ運行と廃校跡地のヘリポート化なんてのが可能でしょう。国土保全的な業務が発生する場所では一定割合で公共事業に依存した経済も許されるでしょう。点的に行政・簡単な商業・医療サービスが提供され、それに応じて人口も集約できなければおそらく不効率でしょうね。そのような意味では、郵政民営化に当たっては実は共生圏の局の活用が一番前向きの議論ができるんじゃないかとも思うのですが....

 というわけで、総括しちゃうと「交通行政以外にできる事を捨象しないで欲しい」ってことで「世の中はもうちょっと複雑なのだからもっと横断的な言及はないのか?」と思いました。あれ、結論はちょっと似てしまいましたか。

*1:おそらく時間距離ベースでの資料にはこのような物が用意されているよ、とのやさしいご紹介だろうと思っています。参考になるレベルの事はまだ書けていないと思いますし自分の挙げた問題提起への解答もまだ検討できていないと思います。ざっと見て思った事の記録の段階です。