贅沢って何?

 レクサスという新しいディーラーに車を見に来いと言うダイレクトメールが来ていた。
マスコミなどが伝える所によると、高級車専門のディーラーで、トヨタの既存車種を徹底的に見直した真の高級車だけを扱う新たな販売チャネルという事である。
 接客には選抜と訓練を経た接客専門の職員がいて、失礼でないように丁寧な対応に努めてくれるそうである。
 とりあえず、私は平日は業務上の必要で毎日60km車に乗らなければならない。業務上必要なのだから、車がちゃんと走る様にきちんと維持しなくてはならない。コストだって重要だ。業務上の収益に応じる範囲に収めなければ意味がない。正直に言えば、実は今乗っている車ですら業務で得た所得から様々な経費を差し引いて、残った投資可能資金で購入したものではない。別途投資事業から収益を得て、投入したのである。
 そんなわけで、私に贅沢な車というモノを買えと言うダイレクトメールが来ても、どうしようもない。そもそも、その個人情報、どっからとったんだよ。今乗ってる車がトヨタって事でトヨタ本社に送った整備カルテ作成用の住所氏名情報なのか?なんて思うのだ。

 文句ばっかり言ってもなんもいいことない。そんなわけで、車と贅沢について考えてみた。
たとえば、今ディーラーで僕は贅沢を楽しんでるだろうか?

 今の車を整備や修理に出すとき、車を置いて接客スペースに入って、サービス担当の時間ができるまでの間、「頭文字D」でもぱらぱらめくってると、おねえさんが麦茶をもってきてくれる。工場長が時間あいてたりすると、僕をみつけて様子を聞きにきてくれる。そんなわけで結構通ってる割にまだ「頭文字D」は3巻の途中だ。
 サービス担当が来た所で、僕の感じている不具合の説明、必要な点検整備の水準なんかの相談をするのだけど、ややこしい整備だと手の空いているメカニックを呼んで、担当とメカニックと一緒に短いドライブをして問題点をはっきりさせる。
 店に戻って、工場長(判定・提案)、担当(コスト計算)、メカニック(技術的意見)、私(意思決定)で作業計画を決める。作業を依頼して見積書を受け取り、代車を手配してもらって店を出る。代車はなんでもいいって言ってあるので、MTのカルディナバンだったりはするんだけど、運転してみると実におもしろい車だ。
 整備上追加作業が必要になった場合は電話連絡が来る。
 車を受け取りにいくと、大体見積もり通りの請求書にはなっていない。見積もり段階では想定作業時間の合計が計算されているが、メカニックが優秀だとそれより随分短く済むので、「技術料」の人件費分が減額されているのだ。清算して、車を受け取ると、請求書通りの作業時間に少し余裕があったのか、普段僕がやりにくい細かい所の清掃が丹念にしてあったりする。
 うーん、これって払ったコストではあり得ないほどすごく気持ちいい対応だと思う。レクサスの「選抜と訓練を経た接客専門の職員」に相手してもらったんじゃ絶対にありえない種類の贅沢じゃないか?
 報道によれば、レクサスの「接客専門の職員」は「お好みのドリンクをひざまずいて出して」くれるそうだけど、そーゆーサービスにお金払いたければ自分でエスカイヤクラブに入会して、運転手をやとって整備や購入は運転手にまかせればいいんじゃないの?
 え、すげー金がかかるって?じゃ、馴染みの個人タクシーを2、3軒つくって好きな時に呼ぶ事を覚えればいいんじゃないのか?
 車に関しては、「上手に人に任せる事」これが実現した時に本当の贅沢が味わえるんじゃないのだろうか。
 レクサスの車種って「オーナードライバー」車で、「ショーファードユース」ほどの贅沢には手が届いてない。人件費ってものの高さを考えると、どう考えても「クラウンコンフォート」の方が贅沢な車だろう。

ショーファードなら、お酒も好きな時に飲めるしね。