IDCはどうして低圧直流電源を備えていないのだろうか

省庁ビルの暖房費が伸びている件について考えていて思いついた単なる思いつきに基づく疑問である。
 私の想像が当たっていれば、IDCでは建物の中にラックが詰め込まれ、ラックの中にブレードサーバーラックが詰め込まれ、その中に多数のブレードサーバーがさらに詰め込まれている。
そしてそこでは大量の熱が発生し、空調で強制的にガンガン廃熱しても、技術者と熱の「熱い戦い」が繰り広げられている。
参考:http://www.13hz.jp/2004/03/post_7.html

で、ラックサーバーの構造など見てたらですね、ブレードサーバーラックに2個以上の電源を持って100Vの交流から12V,5V,3.3Vの直流電源を作っているのですね。で、その電源もトランスを持っていて、変換効率は高い物で75%程度ということです。残りは熱に変換されてるわけですね。
サーバーの発生する熱の少なくとも25%は電源から出ているってことは、ラックの熱環境考えた時に、どうしてその熱を筐体の内側で発生させなきゃいけないんだろうと思ったんですよ。

以前紹介したmac miniを使ったIDCなんかは電源とCPU分離できていいかもしれない。
http://d.hatena.ne.jp/kumakuma1967/20050607#p1
電源はラックの外に置いちゃえばいいわけで....できれば空調の空気の吸い込み口の近くにまとめておいたりするといいかな、なんて考えたわけだ。

それなら何の事はない、ラックが電源部をブレードから遠ざけて直流電源を供給できれば筐体内の発熱量25%OFFできるじゃんか。

でもよくよく考えたら電源なんて、CPUやHDDほど熱に弱いわけではないし、冷却してやる必要をあまり感じないなぁってことで、建物全体でボイラー室みたいに電源室つくってそこから供給してやればいいじゃんかと思っちゃったわけで。

建物全体をキンキンに冷やす空調費って結構なもんだろうから、内部の発熱20%OFFはかなり魅力的ではないだろうかと思うわけです。電源室には煙突でもつけとけばいい。

もちろん問題はいっぱいある。電源のトランスは機器側と入力側を絶縁しているけど、直流を直接利用するときは普通は直結だ。機器でも外部でも一カ所ショートすると大変危険な事が起きる可能性があるので、現在の電源部にはヒューズだけでなく電圧、電流の異常の時に速やかに内外を切り離す機構が必要になるだろう。ラックレベルでも、ブロックやフロアのレベルでも同様の対策が必要となるだろう。
また、電圧を安定に保つためにはあちこちにバッテリーやキャパシタも持たせたい。(これはこれで熱源になる可能性もあるけど、無停電化はしやすくなるんじゃないかな。)

実は、メディアコンバータラックの説明書を見たら、「ラックを既存の直流電源に接続する場合」の説明があって、おそらくはNTTとかのメディアコンバータラックを収容している部屋なんかは直流電源が供給されてるようなのだ。てことは、なんかやれない事はない気がするんだけど。

1W分の熱をヒートポンプで排出するのには0.2W分の電力消費が必要だ。25%の熱源を冷房の必要がない状態にもっていければ、1.2W使っていた所が1.15Wになるかもしれない。4.2%の削減は小さくないのではないだろうか。