どう考えても環境影響を重視した車に見えない

昨日の朝、テールにE320、CDIと書かれた白の見慣れないベンツを見かけた。どうも新型の環境影響を抑えたディーゼルらしい。
http://www.drivingfuture.com/auto/benz/u3eqp30000004sy4.php
http://www.auto-g.jp/news/200608/08/newcar01/index.html

高速のややアップダウンのある(私が一定速度で走るのに14km/Lから40km/Lのレンジ)区間で、追い越し車線をキープして70-120km/hでギクシャク走っていた(ちなみに制限速度は80km/h)。
先行試乗車でインプレッションテストしてるようだが、公道で違法なぎくしゃく走行はいかがなものか?などと思っていた。

そしたら今日の日経新聞に全面広告でインプレッションの文章が出ているではありませんか。
題して「試乗検証メルセデス・ベンツE320 CDI 検証I」だそうである。コースは私が見かけた場所とは違うようだ。

試乗したのは7速オートマチックだそうだが....文章を読み出して試乗の部分に到達するといきなりのけぞった。

出足もよい。アクセルを踏むと瞬時にタコメーターの針が跳ね上がると同時に背中をぐんと押されるようにパワフルに加速を始める。これだけの加速をするには、ガソリン車ならより深くアクセルを踏み込まなくてはならないだろう。

試乗した人はエンジンの性能がいいからパワフルに加速すると言いたいんだろうけど、ディーゼルエンジンは低回転からトルクがあるから、発進で回転を上げる必要はほとんどない。↑のリンク先によれば最大トルク510N・m/1600〜2800rpm。1200回転でも他の車より急に発進するには十分すぎる。たいして踏み込んでもいないのにタコメーターの針が跳ね上がって急加速するというのは.....

  1. 必要以上に減速比の大きいギアで発進する
  2. ちょっと踏めば急加速するようなアクセルのセッティングを施してある

の二つの条件を満たしているような気がする。

ホンダがフィットでやっているような、小さな高回転型エンジンできびきび走らせるためのセッティングっていうならわかる。ガソリンの小排気量エンジンではトルクのピーク近くをつかって動かす意味がある。
でも、3リッターディーゼルでこのようなセッティングをする意味は...予定以上にエンジン性能が悪くてドライバーの不満が出そうだからごまかしてあるとか、そういうのだろうか?と勘ぐりたくなる。

試乗した人は「アクセルをあまり踏まないので足が疲れない」なんて事を書いてるが、アクセルペダルの床板近くのストロークは単なるオマケとしてついてるんでしょうねぇ.....

ちょっとしたアップダウンでスローダウンしたり、急加速してたのは、ちょっと踏むと急加速するアクセルのセッティングにあったと言う事なんでしょうか?
.....で、テスト環境でプロが運転すれば燃費がいいとか?....

排気ガス地球温暖化の事を考えた車づくりをするならば、一般ユーザーが操作した時に、「よけいなスピードを出さない」ってのが大きく効く。
おまけに高速道路のちょっとしたアップダウンでギクシャクする車は渋滞の元だ。
排ガスや燃費のカタログ値は、ドライバーが車を環境負荷が少ない状態で走行させられるって前提でシミュレートしたものに過ぎない。基本的なコントローラビリティのない車は、どんなにカタログ値がよくても、失格。

技術的にはこの車のエンジンと排ガス浄化機構はすごいのかもしれないけれど、かなーりDQNな車が出来てしまったような印象がある。(杞憂である事を願います)

つーわけで、DQN向けの車づくりをやめる所から始めないと>id:prepreさん
http://d.hatena.ne.jp/prepre/20060822#1156235760

「踏み込まないときはほどほどの加速、床板近くまで踏み込んで最大トルクというアクセルのセッティング」と、「ドライバーが加速を要求しない限り極力回転数を抑えて巡航するトランスミッション」、この二つは環境影響を考えた車づくりには最低限必要な条件だとおもっている。そしてディーゼルはそういう車づくりに向いたエンジンだとも。

すごく残念だ>E320 CDI