2月14日付日経経済教室がピンと来なかったわけ(今頃いうか?)

思い出した。
阪大COEの成果に基づいて、双曲割引が観測された被験者は、負債を抱えている割合が高く、有担保の負債でも、無担保の負債でもその傾向が見え、双曲割引は経済破綻の原因となるという話だった。
が、根拠となる表*1を見てたら無担保の負債についてはカイ二乗検定でおそらく数十%は帰無仮説が成立する程度の効果しかなさそうだった。住宅ローン込みの負債についてはかなりよく効果が確認できそうだった。
 おそらくは双曲割引の有無と負債の有無のようなカテゴリカルな検討でなく、双曲割引の強度と、負債/可処分所得の散布図のようなものを見たかったのだろう。
 文章の論旨と提示されていたデータの乖離が激しかったため、いまでも破綻の元凶が双曲割引という実感はまったく持てないでいる。*2

*1:不完全なので、サンプル数や双曲割引の観測率を文章から補完して読んだ

*2:新聞記事ではどうせ限定されたデータの提示しかないので、仕方がないのかもしれない。しかし、学術論文でこういう事をやると、判断の正当性に踏み込まれたくないからデータを隠していると思われてしまう。