公示地価って何?(その2)

http://d.hatena.ne.jp/kumakuma1967/20070324#p2
に続けて思った事。

家賃が下がらず、建築費が下がると公示地価が上がる事はもう書いた。
この方法ではデフレはものすごい地価上昇圧力なのだが......実際にはたいして上がってないし、去年までは下がっていた。で、実際には調整されると書いた。
 REITの投資対象になるような、需要超過の一部の立地では、ファンダメンタルな価格に近く、空室が目立つ供給過剰の立地では市場から退出していく参加者の整理価格に近い値がつくわけだ。相続が発生しない限り整理もないような停滞した立地では、全国の地価動向と規制緩和で追加された床面積で公示地価は迷走する。

 最後は経験と知識に裏打ちされた不動産鑑定士のプロフェッショナルな眼力で値段がつくわけで。結局機関投資家運用責任者2人に聞く今年の銘柄別株価予想みたいな話になる。

 ということで、値上がりしようと値下がりしようとたいした根拠ないですよ、たぶん*1

 これまでは公示地価が上昇すると、だいたい家賃の値上げと、固定資産税評価額の上昇と、公共投資の真水部分の減少につながってきたような気がする。(土地取得価格があとから上昇するわけではないので、固定資産税の増額分以上の値上げをする根拠はないはずだが.....)

 そういうわけで、公示地価が存在するだけで異様に高値の取引が起きてる可能性が高い。(だって、実際の利用価値が公示地価の1/3しかない土地を持ってたって、道路拡幅で手放すのに公示地価の1/3で手放してくれって言われたらいやがるでしょ。)
 さらに公示地価が上がると、家賃が上がり、「需要超過の一部の立地」のファンダメンタルを押し上げて.........まあ需要に関係ない価格上昇という意味でのバブルが発生しちゃうわけですね。

 何回か書いているけど、空家率、空室率は上昇傾向に歯止めがかかってない。最近の分譲マンションの売り出しは一回に募集する戸数が3戸くらいで、これは低金利のせいで、空室を保有しても金利負担が少なく、値崩れを防ぐためにちまちまと売っているのである。
 雨後のタケノコのように出てきた○○ヒルズは景気良さげだが、周辺の古い賃貸物件の空室率を上げているようで、古い物件は家賃収益が急速に落ちているのだろう。競争の存在を考えた場合、ファンダメンタルにどのような修正を加えるべきか、国土交通省が提唱しているDCF法でいいのか、ちょっと考えた方がよさそうだ。
都庁は老朽化で雨漏りしだしたが、雨後筍ヒルズが古くなった時に入居者がいるかどうかは非常にリスキーな気がする。*2

なにはともあれ、空室/空地率が問題にならないという事は、需要がない証拠だし、本当に土地の需要超過が発生していれば工期短縮のメリットが大きいので建設コストが上昇してるはず*3

というわけで、現況では需要が弱い*4上に、遠くない将来に極端な需要低下(労働者人口の急減と世帯数減少)が見えてるのにどうして地価が上昇したのか考えてみた。

こんな事やってると日銀の利上げを正当化しちゃうよなぁ.....

*1:個人的には取引実績の方が見たいデータだなぁ。もっとも個別敷地の取引実績なんて、地上げの例をひくまでもなく、すでに持っている土地がレバレッジしてあと30平米追加取得する効用がものすごいなんて事普通なんだけど。

*2:参考:wikipedia東京都庁舎」

*3:利上げで価格上昇しうる可能性がある業種?要検討。

*4:追記:東京都心を除く