統計法違反ではないのか

http://www.asahi.com/health/news/JJT200708250005.html

 特定非営利活動法人NPO法人)日本禁煙学会(理事長・作田学杏林大学教授)は25日、都道府県の喫煙対策などに関する初の調査結果を発表した。男性の喫煙率は、低い順に1位の岐阜28.4%から最下位の香川60.0%まで、約2倍の開きがあった。
 同学会は、住民の喫煙率や自治体施設の受動喫煙対策などに関するアンケート用紙を、2月から4月にかけて都道府県に送付。締め切りまでに回答がなかった自治体には直接電話で連絡し、100%回収した。

役所に質問状を出しただけで喫煙率の調査をしたことになるというのは、ちょっと妙だな、と思った。

たしかに、多分都道府県には喫煙に関する統計がある。あるが、おそらくは厚生労働省の手足となって、国民生活基礎調査*1として3年に一度調査される素データである。
その手の調査結果は統計として扱われる事になっていて、集計処理を行った結果以外を公表する事は統計法15条で禁じられているのではないかと思う。この報道が事実なら、違法行為が存在した事になる。*2
*3

第十五条  何人も、指定統計を作成するために集められた調査票を、統計上の目的以外に使用してはならない。
○2  前項の規定は、総務大臣の承認を得て使用の目的を公示したものについては、これを適用しない。
第十五条の二  何人も、届出統計調査(地方公共団体が行うものを除く。次条において同じ。)によつて集められた調査票及び報告徴集によつて得られた統計報告(統計報告調整法第四条第二項 に規定する申請書に記載された専ら統計を作成するために用いられる事項に係る部分に限る。)を、統計上の目的以外に使用してはならない。
○2  前項の規定は、届出統計調査又は報告徴集の実施者が、被調査者又は報告を求められた者を識別することができない方法で調査票又は統計報告を使用し、又は使用させることを妨げるものではない。

締め切りまでに回答がなかった自治体には直接電話で連絡し、100%回収した。

都道府県ではおそらく厚生労働省の判断を仰いで対応する事となったのだろうなぁ。つまり、各都道府県は送られてきたアンケートに回答する事ができないので、答えていい数字を厚生労働省に貰って、回答したのだろう。ものすごく迷惑な話。最初から厚生労働省に聞けば郵送先も交渉先も一軒で済むのに。

*1:指定統計第68号/http://portal.stat.go.jp/faq/1019/app/servlet/answer?5659

*2:統計法15条2項の届出統計の取り扱いを見ればはっきりするが、集計前データは指定統計の場合はダメ、届出統計調査ではOKとなる事項だと思う。

*3:国民生活基礎調査の集計は中央で行われる事になっているので、厚生労働省に問い合わせて統計データを貰った場合は都道府県別集計の結果という統計をもらったといいわけもできるが、集計機関でない都道府県に問い合わせた場合、目的外使用なしではデータは存在しないのではないだろうか。