間違いだらけの燃費講習

かなり追記しました
prepreさん(http://d.hatena.ne.jp/prepre/20071126#p1)経由
世界各地の燃費向上術*1

 欧州ではCO2削減の一環として「エコドライブスクール」の人気が上昇している。それぞれのメーカーがユーザーを集め、燃費の良い運転方法を指導するという活動だ。もちろんそのクルマ固有のパワーやギアボックスによりアクセルペダルの踏み方は異なるが、原則はほとんどのクルマに共通している。今回はそのレッスン内容を紹介しよう。

だそうです。

1)なるべくエンジン回転を高めないで走る。1500回転くらいで最大トルクが得られる欧州のディーゼル車やガソリンターボは2000回転を超えないように心掛ける。といっても実際は低いギアでは勢い余って3000回転近くまですぐに針が跳ね上がるが、短い時間であれば燃費への影響は少ない。

最大トルクで走る必要なんてないじゃんか。1200-2000回転で1500回転を中心に走行するつもりで3000回転まで上げちゃうってどんな速度超過だよ!30km/hで4速に上げるつもりが、「今だ!」って思った時には50km/h出てるとかだぞ!シフトアップが遅いから回転数が上がっちゃうんだよ。その分スロットルも控えめにしか開けられなくなるから影響ないわけないだろうと思う。

2)アクセルペダルは絞るよりも開いたほうが損失が少なく燃費が良くなる。昔の常識ではアクセルはなるべく踏まないほうが燃費が良いと考えられていたが、最近はそうではないようだ。直噴エンジンで電子スロットルのクルマはアクセルペダルを50%も踏み込めば、実際のスロットルは全開になるらしい。

アクセル半開でスロットルが全開(吸気量最大)になるっつーのが全くわかりません。スロットルが半開以上開いてればインテークの負圧の影響は無視できるってならわかるけど。(あ、ターボの車限定の話してたのかもしれない)
 同じエンジン出力を得るのに、低回転-スロットル全開(ハイギア)と高回転ースロットル半開(ローギア)では前者の方が圧倒的に燃費が良い。そんなの最近のエンジンでなくてもここ50年以上はよく知られてる原則でしょう。で、必要な加速をするのに低いギアでアクセル踏まないか、高いギアでアクセル踏むかでは後者の方が燃費良いわけなんです。はい。
 コメント欄にも書いたけど大抵の日本のAT車ではアクセルペダルを半分以上踏んで加速するとシフトアップのタイミングを遅らせて回転数を上げる。必要以上に急加速するだけで燃費の良い状態にはなりません
MTできつめに加速する時でもゆっくり加速する時でも適切に高めのギアを選んでアクセルを踏み込むと燃費はいいと思いますが、ギアを選べる事自体「ほとんどのクルマに共通」なんかしません。
ついでに書いとくと。急加速は道交法の禁止事項だし、どんな場合でも道路を走る車両の速度はコントロールされなくてはいけないってのは国際的なルール。

3)タイヤの空気圧と燃費の関係も重要。(中略)1カ月に1回、10%くらい多めに入れるべし。

タイヤの空気圧点検は運転者の運転ごとの義務っす。一ヶ月に一回なんて言っちゃだめでしょ。仕業点検は目視でも良いわけですが、空気圧計をそなえてこまめに点検するといいと思います。また、規定空気圧より10%も高めにしたら制動距離が伸びる車も多いので非常に危険です。特に低燃費を売りにしてる車。規定空気圧が有効数字2ケタで表示されていますから、四捨五入してその範囲に入るくらいの精度で維持するのが妥当かと思います。

4)もっと細かいことを考えるなら、クルマを軽くすること(トランクの荷物を片付ける)、燃料タンクを満タンにしない。

荷物減らせば燃費いいのは常識っすね。燃料タンクを満タンにしないと確かに走行距離あたりの燃料消費は減りますが、ガソリンスタンドまで余分に走ったら無駄ですね。頻繁にスタンドに通う暇があったらその時間で高速での巡航速度を10km/h落とした方がましですよ。50kmを走るのに100km/hでは30分、90km/hでは33.3分です。3分で給油終了できますか?高速走行時の主要な抗力である空気抵抗は速度の二乗に比例しますので100km/h走行時には90km/h走行時の2割近く大きくなります。

VWのエコドライブ術を取材したレポーターがいたが、話によるとそのレッスンでは「下り坂でクラッチを切る!」とまで教えているそうだ。

下り坂でクラッチ切った方がいいかどうかも車で全然違う。1500回転でECUがフューエルカットする車で4速1600回転でアクセル放しっぱなしでたまにブレーキ踏んで速度維持みたいな条件なら、クラッチ踏むとガソリン消費増えるじゃんか。下り坂では積極的にエンジンブレーキを使えとまでJAF-Mateにすら書いてある日本も捨てたもんじゃないな。

それに引き替え、日本のエコドライブ術はちょっぴり特殊だ。その多くが「ふんわりアクセルを踏む」や「ゆっくり走ろう」的な教えなので、それでは燃費は良くなっても渋滞を引き起しかねない。時速20キロを5秒かけて!(秒速1m/sec〜0.1G)では都市部は大渋滞となるだろう。

 ちょっぴり特殊も糞もヨーロッパはMTが前提、日本は踏み込んだら回転数上げちゃうトルコンオートマが前提だから全然アプローチが違うはず。おまけに都市部でゆっくり加速しても渋滞にはあまり関係しない。渋滞で問題になるのは前の車と同期して走れない車。
予定回転数の倍まで回っちゃうなんて阿呆は10m以上の車間が空かないと発進できない上後ろのトラックは追随できないから渋滞のもと。