成果と投資と報酬と

http://d.hatena.ne.jp/Baatarism/20071125/1195992454

この書き込みで提案されている委任経理金を個人で送るというのは、政府の規制がかからない研究資金を研究者に提供できるという点で、非常に有効な方法だと思います。

このような政府や企業を介さない自由に使える研究資金の調達ルートが大きくなれば、国家プロジェクトに頼る割合が小さくなるので「政府の失敗」の影響が少なくなり、研究分野で国に頼らない「小さな政府」を実現できるでしょう。

「万能細胞」の山中教授に対して今から「自由に使える資金を」なんて話が出ているけど、研究資金としてそういうお金が必要だった時期はもう終わってるんじゃないかな。だいぶ前に雑誌なんかに紹介された時には、かなりメドは立ってて、本格的にメドがたって論文になったのが今回の報道の山を構成してるんだから。
 できるかできないかめども立たない「研究」のために資金が必要だったとしたら、それは10年前から5年前に提供されてないと意味がなかったんじゃないのか?ここからの開発は民間だってお金を出したがるだろうし、日本がダメなら海外が出してくれそうな気がする。
 基礎科学的に意義が高いハイリスクの資金提供の機会はとっくに過ぎてて、ここからは事業化の仕事って分岐点を一つ超えたんじゃないだろうか。

 個人的には学生時代に「自由に使える委任経理金」には大変にお世話になった。目新しくってたよりない学生の研究に指導教官名の委任経理金を資金提供してくれた人々には今でも感謝している。ぜひ、もっと頼りなくて成功率の低いところに資金提供をしていって欲しい。

 資金援助が不十分で些事に足を引っ張られながら山中教授がここまで来たという事ならば、支払うべきなのは投資的な資金じゃなくて、成果に対して与えられる報酬だろう。
ベンチャービジネスが成功して株式公開して値上がりしてから額面で出資したいなんて虫が良すぎるんじゃないか?*1

 彼と、彼の大学と、彼を支えたスタッフや大学院生たちに口先だけでない報酬を!

*1:どう言い訳しようと、私たちは出資する機会を逸した。