つながり議論

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20071206AS1K0600206122007.html
日経新聞 春秋(12/7)

欧米の研究職は一般事務職に比べて2.13倍の報酬を得ているのに対し、日本の研究職は1.18倍でしかないという報告もある。


http://www.atmarkit.co.jp/news/analysis/200712/10/engineer.html
@IT

日本の子供の数学、理科の応用力が下がっていることや理科離れが進んでいる背景には、研究者や技術者を正当に評価しない企業や社会の風潮があると指摘する内容だ。思わずうなずいた人も多かったのではないだろうか。


http://www.nurs.or.jp/~ogochan/essay/archives/977
おごちゃんの雑文

こういった文脈で、特に技術系のメディアがこういったことを言う時には注意した方がいい。むしろ、こういった論に納得してしまうことが、技術者の待遇の悪さの根源にあるのだ。


http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50966702.html
404 Blog Not Found

正しくは

技術は1円の金も稼がない

である。

とても面白い流れ。(引用部だけでは意味不明なので、ぜひ各記事を読んで下さい)

 個人的見解はすでにおごちゃんさんには伝えたので、いいっちゃいいんだけど、おもしろすぎるし、他の議論ともつながりそうなので、脳内でつながったいろんな話を表面化させるために、エントリ。


 最初は従来型の日本の技術系は、まあ給料安くてもしょうがないか、って思う側面はあるんじゃないかな?と思った。
いや、従来型に当てはまらないところもいっぱいあるんだけど、特に工業系の技術系への報酬が安い会社とかを念頭にすると、安くてもよかったのかも。

 確かに責任とらなきゃいけない技術者ならぺーぺーでも1000万からの値付けになるのが先進国国際相場なんだろう。そのかわり、ダメな責任とらされる人も多かったりするわけで。
 それに対して、この国では国でも大会社でも、官僚制の中で「技術者を安い給料で働かせる代わりに責任とる所は文系官僚がやって高給取る」って体制。
 つまり、技術がダメだった時に責任を取る人は別にいるはずなんだな。給料が安いって事は吉兆のパートさん*1と同じで責任ないって事だし。

 薬害エイズの問題で言えば、「技術的な不都合が生じたのは適切な人選と体制がなかったからだ」という責任の方が、技術的な責任より重いことになっていて、だから局長や次官の方が課長より高給取りだったわけなんだよね。
 なのに、責任は技術者にっていう判決がでちゃった。責任だけ国際相場ってのはやだなぁ。というのが今の状況なんじゃないかな。たとえばトラックに追突された時、運転手の技能がよければ追突しないだろうってことで、会社は賠償しません、運転手に請求して下さいって言うようなもんだ。

 会社と言う組織はモノを売っていたりするけど、組織としては「バクチをする人」と「責任をとる人」の組み合わせになってて、間接部門の主要な仕事は責任(リスク)を引き受けることだったりしたのだな。他人のリスクを引き受けるなんてのは儲からなきゃやっていけない仕事だろう。確かに。
 商社が何故儲かるか、割と簡単で、作り手と買い手が直接取引してもリスクがある。双方のリスクを引き受けてマージンをとるから儲かる。リスクに叩き潰されないだけの資金と情報力が必要になる。儲からなきゃやってけない世界。

http://d.hatena.ne.jp/sunafukin99/20071212/1197413079
↑で、すなふきんさんも言ってるけど、日本人はリスク大嫌いだから、文系官僚(民間も含む)とか、商社とか、流通業とかもうかったわけで、それらのもたらす安心感が、この国の生み出すサービスの結構な部分を占めてきたんじゃないかと思う。

でも、http://d.hatena.ne.jp/kumakuma1967/20071125#p1で書いたように、日本の間接部門はリスクを引き受けなくなっちゃった。

そういうわけで、リスク回避の欲求はいっぱいあるんだけど、リスクをとる人がいない事になっちゃった。どうしようね。*2

追記:
それにしても、「報酬なくして責任なし」が企業経営者に適用されて、従業員には適用されないみたいな話ってわけわからんね。

*1:http://d.hatena.ne.jp/kumakuma1967/20071115#p2

*2:リスクをひっかぶせられた人は、ちゃんと報酬をとらなきゃダメですよ。厚生労働省医官の課長は局長の二倍の給料もらわなきゃね。