自らの首を絞める自動車ユーザー

ガソリン税暫定税率を維持するかどうかに注目が集まっている。街角のインタビューなどでもガソリンスタンドで「安くなればいいと思います」と答える自動車ユーザーの姿なども映し出される。

今日は、官房長官が会見で資料を見せて説明したらしい。*1
趣旨は
ガソリン税は貴重な国と地方の財源、除雪も出来なくて良いのか
環境税としての機能もある
みたいな話なんだが......

なんか変じゃないかな?
自動車は道路がないと走れないし、道路整備のほとんどは「自動車が通るため」になされる。

例えば身近な所に道路が出来るとき、どんなふうに出来るのか?
市町村道を造るときにどうなるか、知ってる範囲で書いとく。

土地、これは地権者が無償で供出する事が多い*2
で、上の舗装とかをする費用を「公共が負担する事もある」くらいな感じ。
貧乏でない自治体だと、ガソリン税一般財源半々で舗装費用なんかが出る。
うちのあたりは貧乏らしく一般財源がないから自分らで舗装してから引き渡しですね。

車使ってない人がこれだけ負担しても、ほとんどメリットを感じられない*3。自分が車乗らないと損ですね。

近所の踏切の立体化だとどうなっていたか。

道路部分の構造物:半額をガソリン税、残りを一般財源
鉄道部分の構造物:半額を鉄道会社、1/4をガソリン税、残りを一般財源。全体が鉄道会社資産になって一部は固定資産税課税。
道路部分の土地:市町村の財産(旧村の行事用広場など)と等価交換
鉄道部分の土地:鉄道会社による買収

で、無茶苦茶鉄道会社の負担が大きい割に、メリットは自動車交通に偏ってる。

ガソリン税の役割は、道路整備するかどうかの判断をするときに、「道路作った方が得」に判断を歪める事であって、道路建設費用の負担なんかろくすっぽしてないわけ。
それでも世の中のあらゆる所で判断が歪むから、「車に乗らないと大損こく」社会が出来あがる。

道路整備のためにそういうふうに世の中を歪める事がこの税金の目的で、現にそうなってモータリゼーションがとめどなく進行している。

で、冒頭の自動車ユーザーなんかどう見てもちょっとの負担で大きな見返りを得ているわけで、大変お得な立場なんですが、多分これからは「一般財源だけで」やってくれる事を期待してるんでしょうねぇ。自分がどんだけ得してるか、自覚のない人ってちょっと嫌だなぁ。

これが「自動車利用抑制のための環境税に似ている」っていう政府の偉い人はもっと嫌だけど*4

追記:
NATROMさんの日記
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20071227
を表題の参考にしました。

追記2:固定資産税について「一部は」を追加しました。

追記3:本州太平洋側の都市では雪が降るとガソリン税で除雪するけど、その除雪って「車道の雪を歩道に積む事」なんだよなぁ。

*1:http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg1591.html とある人のmixiの日記で知った

*2:ピンと来ない人は「二項道路」あたりをググって見て下さい。

*3:救急車や消防車の通行は感じにくいかもしれないけどメリットなんだけどね。

*4:法の目的の正反対じゃないんですか?、それ.....