「民間ではサービス残業当たり前」ということについて

 あまり具体的に残業時間を書いてある人を見かけなかったけれど、公立病院よりひどいめにあってる人もいるんだろう。で、サービス残業って増えると人が死ぬんだよね。させる経営者も従業員を殺そうとおもってやってるわけじゃないけど、死んじゃう。現にサービス残業が常態化することで、自殺者数は結構増えてると思われてるんじゃない?。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2740.html
↑自殺者の増減のグラフね。

殺す気はないんだけど、人が死んじゃう。何に似てるかというと、酔っぱらい運転かな。人をひき殺そうとして飲酒運転をする人は少なそうな気がする。
たいてい酒を飲みたくて酒を飲んで、車に乗りたくて車に乗って、交通事故を起こして人を殺しちゃうわけだ。
http://www.npa.go.jp/toukei/koutuu1/shisha.htm
↑こっちは交通事故死者数のグラフ。

 で、自殺、嫌じゃありませんか?
死んじゃう人がどういう気持ちなのかは永遠にわからないけれど、残された人の姿、悲しくありませんかね?
電車が毎日遅れるのだって、迷惑じゃないですか。

そういう意味では、僕には違法に残業させる事も飲酒運転に近い犯罪に見える。

人を雇う立場の人がマスコミのいる場で「サービス残業に感謝している」なんて言ったら、「酔っぱらい運転させてもらえておいらは幸せだよーん」って叫びながら酔っぱらいがオープンカーを運転してるような状況に見えるわけだ。

こういう風に見えたから、最初にこの件について書いた時に「そういう経営者はいつ逮捕されてもおかしくない」みたいな話を書いてるわけだけど。

「絶対に酔っぱらい運転をしない」経営者かどうかはともかく、「酔っぱらい運転はいけない」くらいの事がわかる経営者であってほしいのは当たり前の事だと思うんだけど。

まして今回の件はマスコミの前で公然と、刑訴法で告発義務のある人たちに向かって、司法資格を有する経営者が言ったわけだから世も末だという気持ちにもなると思うんだな。

さて、サービス残業に代表される違法な業務の仕方をして、民間は苛酷な競争というのをやってると言うのが、「民間ではあたりまえ」っていう話だとおもうんだけど、本当にそう?

たとえばそういう人のやってる業界の中にサービス残業をさせてない企業が一社でもあったら、残りの会社は体力にまかせて*1不公正な価格を提示してる事になる。ダンピングってやつだ。

国内では労働基準監督署が甘いから見逃されてても、EUアメリカに製品を輸出している企業や、その下請けだったらかなりヤバい事になるんじゃないかと思うけど、どうなんだろう。下手をすると、サービス残業で生み出された付加価値は、残業した人たちに分配される可能性のある会社の内部留保から、EUアメリカの政府にわたって雇用対策に使われちゃうかもしれないよ。

大阪の労働基準監督署って、普通の経営者には確か相当甘いんだけど、甘い理由はもっと簡単に人が死ぬような労働条件違反が多くて、そっちにかかり切りだと聞いた事がある。
そりゃ、強盗殺人事件で非常線張ってる時に酔っぱらい運転がつかまる可能性は低いかも知れないけど、やっていいことじゃないだろ。

追記:
個人的に、一緒に仕事をした範囲で、過労死や自殺が多いからこういう事を書いているのかもしれない。こんな事書いたから個人的に仕事で関わった範囲でどのくらい人が死んだか数えてしまった。二交代勤務→通常勤務→三交代勤務をコロコロ変えられて大変だと笑っていた製造業の人。大臣直命で異動させられ、激務の最中に病死した官僚。博士号がないと業績発表が認められなくなったといって、社会人大学院に通い、その時間を捻出するためにバリバリサービス残業をして、あげく自殺した研究者。新しいものはどんどん取り入れたいと明るく笑っていた中堅の看護士。みんな経営者の思いつきの犠牲になったようにしか見えないんだよな。一人も労災になってないけど。*2

*1:まさに従業員の体力に

*2:さらに追記:ちなみにここに挙げたうち最初の一人以外は「公務員」だよ。統計的な意味はないけど、そういう挙げ方をしてみた。