人事院勧告で給与を引き下げられる人の総数ってどんくらいだろう。

http://d.hatena.ne.jp/sunafukin99/20080413/1208056640

■[雑感]マクロ的発想の衰退について
うちの近所には区役所・税務署・警察署など公共施設が集中している地域があって、そこから最寄の駅までの間には飲食店や居酒屋などが軒を連ねている。それらの店にとっては公務員というのは大口のお得意さんだ。昨今「公務員の給料を下げろ」という草の根の声が強く、公務員以外の国民の多数派がその声に賛同しているという状況がある。しかし、件の地域のように公務員の懐具合がダイレクトに売り上げに響く商圏の場合、普通に考えると公務員の給料が減らされると影響が大きいであろうことは容易に推察がつく。

関連してコメント欄でid:rajendraさんが↓の記事を紹介していた。
http://job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_07052520.cfm
 総務省が15分の有給休暇を廃止するよう実質的に命令してから、あちこちでそういう事は起きている。私が聞いたのは兵庫県庁だったか、昼休みを短縮したので飲食店の売り上げがどんと落ちて閉店が相次いでいるという事だった。

 さて、各地で公務員の昼休みが短くなったのは「民間ではありえない」として人事院に廃止させ、総務省が各自治体に廃止するよう強要しているからである。(地方公務員には労働基準法が適用されるので、業務時間の不利益な決定を勤労者の同意なしに変更できないはず。が、地方公務員にはスト権がないし、厚生労働省は腑抜けなので、違法だろうとなんだろうと国はやるよね。いざとなったら公務員制度改革で法律を変えちゃえばいい。)

 こういう変化が公務員にとどまると思っている人は、どのくらいいるんだろうか?実は結構な数の民間企業が人事院勧告を参照して従業員の待遇を決めていて、人事院総務省が昼休みは45分と決めた以上かなりの数の民間がそのうちそれに倣う可能性は高いと思うのだが。今昼休みが一時間ある民間企業の人は覚悟しといた方がいいと思う。

 人事院勧告が国家公務員給与を引き下げると、連動していろんな人の給与が下がる。ちょっと検索してみると、一説には人事院勧告の影響を受ける雇用者が2000万人居るなんて言われている。雇用者数が5300万人くらいだから、結構な比率だ。

 そういえば、私が大学4年だったとき、オファーをくれた会社の結構な数が初任給は国家公務員I種に対してプラスいくらといった説明をしていたな。
 ほんとうにそんなにいるの?と思ったのでちょっと考えてみる。

 地方公務員数が300万、国家公務員数が自衛隊や裁判所を含め90万人のまぁ400万人というのが直接影響する事になる。この他に事実上給与が連動しているものとして、独立行政法人職員などが15万人くらいか。高速道路なんかの特殊会社もか。それから臨時職員が100万人くらいはいそうだな。後は公益法人や公立民営の特殊法人とかもだな。すげー数になりそうだけど、大雑把に700万人の給与が削減になる。これが直ちに給与削減の対象になる。

 間接的に影響を被っているので代表的なのは電気労連で、NTTグループを媒介にして電電ファミリーといわれる企業群は公務員参照型賃金の色が濃い。ここで50万人*1。あとは私立学校が50万人。多分トップに天下りの居るJRとかもそうだろう。連結と関連会社で50万人。NHKもか、これも数万人。まあ直接参照する企業が300万人くらいはいそうだな。

 で、公務員給与が引き下げられると市場を介さずに直接参照で給料が下がる人たちが1000万人。労働市場で間接的に参照される範囲が1000万人分くらい、として2000万人分の給料が下がる、というのはなんとなく不自然ではないのかもしれない。

 そっか、過去最長の好景気で給料が上がらなかった要因は国が積極的に押さえつけたから、ということで半分くらいは説明できそうだな。

*1:ITが安月給なのはこのへんが原因だろうねぇ