理学部って苦手

 博士号とか、科学についての考え方についていくつか読んでいて、最近もみたけど、正直理学部で純粋科学をやってらっしゃる方の考え方にはついていけない。

博士号は世界の科学者と議論するためのパスポート

とか言ってる人がいる。
じゃ、博士号なしで立派な議論を提出する研究者は不法入国者なんですね。

 もちろん、議論を出来る人と出来ない人がいる。博士号がその峻別に役に立たない事は多分自明。
 じゃ、そのパスポートには何が証明されてるの?

それと、多くの人が、博士号を持たない奴は科学者失格と言うのだろうが、25歳を境にみんなバカになっていくのが普通で、どんどん能力を落としていって、20代前半までにいかに修行して、良い着想に20歳代中盤にたどり着けるかどうかが重要な業界で、28まで修行した事なんぞ、意味がないだろ。

自筆の英語論文は必須

これも???所詮自分の業界の話で、自分の業界以外見た事ないから出る言葉だろう。日本の刑法学をやってる人が日本に閉じこもった研究をやる必要はないし、世界からいろんな考えを学ぶ事はとても大事だけれど、主戦場は日本になる。
主戦場での戦績があるのなら博士で良いじゃないか。

世の中にはいろんな学問があるし、中には形成途上で合理性、客観性を構築しそこねてる分野だってある。
交通計画なんて、走りながら飛行機を直すのが仕事で、正しい部品の取付け方より飛行機が墜落しない事を重視するから「いつかわかる科学的法則」より「今積んである部品リスト」の方が役に立つし重要なのだ。

 渋滞学はその不完全な人間工学や社会基盤工学的な常識の範囲内の事しか言えてない*1か、日常的な観測事実にあわない*2かで交通工学以上の信頼性はない。彼らが今後部品リストに新しいパーツを付け加える事ができるかが正念場って所か。
 しかし、彼らはなんで「既存の交通工学でジッパー法はもっと評価されて良い」とか、「人間工学はイイッ」というのではなく、「これまでろくに研究されてない」という攻撃的な事を書くのか。
 交通工学や人間工学にやらないで俺たちに「カネクレ」って書いてあるように見えちゃうんだよねえ。

 そんなの科学じゃないっていって侮蔑的な言葉を吐くのは科学者の特権なのかもしれないが、極めて下品だ。

どんな世界だって下品な奴はいる。でも、理学部って下品な人ほど偉い世界なんじゃないかと思うなぁ。

とはいえ、それでも博士号は必要だ。

*1:例えば有名な物理雑誌にのった論説は多分正しいが、これまでの部品の取付け方が正しかった事を示しているに過ぎない。

*2:西成氏の本を読んでみると、特に渋滞についての論説は、交通工学での論説と同じくらいは観測事実に合わない