デフレって何?

トラックバックを頂いたブログを読んでいて、もう一度デフレって何かを考えてみる。
最初に通貨ってのがキーワードの一つになるので、これに定義を与えなくてはいけない。
通貨というのは、人と人が生産の成果(財やサービス)を交換する時に、これに換算して交換して下さいね、というルールを決めて、印刷した紙だ。たんなるお約束に則った紙である以上のものではないし、たいていはその表示する金額に相当する生産物よりはるかに安価に製造できる。

私自身は労働力以外にあまり売り物になるものがないので、労力を売って食糧や衣料や住居に引き換えて生きているわけだけど、とりあえず取引先でお前の労力はこの程度、ってことで通貨で給料をもらい、その通貨で税を納めたりパンを買ったりする。

実際には私の取引先は給与の支払いの時に紙に印刷した通貨を直接手渡すのを嫌がるので、銀行の口座に振り込まれるのだけれど、これは取引先の銀行口座にある○○円のお金を引き出せますという約束のうち給料分だけを私の銀行口座に付け替える事で実現している。ここでは通貨は印刷すらされない。たんなる「お約束の情報」をやりとりしているだけ。

 それでも生産と消費があれば、基本的には通貨がやりとりされる。
家庭内での夫婦や親子のように肩たたき券みたいなものが流通することもあり得るけど、社会では通貨が使われる取引がメインになってる。

 インフレーションは通貨の通用する範囲内の人間の平均的生産性に対する通貨の値下がりである、逆にデフレーションは、人間の平均的生産性に対する通貨の値上がりである。

 ガソリン値上がりしてみんな騒いでるじゃないですか、でも、通貨って社会で生きていく上でガソリンなんか比較にならないほど多くの人が大量に使ってる財なんですよ。いったん労働を通貨に換えなければガソリンも卵も米も買えませんからね。
 その「どんな財よりも経済に大きく影響する財」が継続的に、理由もなく*1、突出して値上がりしてて問題なかったらそーゆー人はガソリン値上げなんて怖くも何ともないんじゃないでしょうか?

 通貨が少なくなる事が目に見えてたら、人に渡すの嫌になりますよね。だから、みんな通貨をとっておきたくなります。そして、とっておきさえすれば、通貨が勝手に値上がりしてくれます。たかが印刷した紙で何の仕事もしない通貨をただとっておくだけで値打ちが上がる。それがデフレですね。

 貯めたお金だけが値上がりしてくわけではありません、借金も値上がりしていきます。だから必死になって支出をケチって貯金して、借金を返そうとします。そのことによって世の中に出回る通貨はさらに少なくなってさらに通貨が値上がりします。

デフレが起きてるのに国が借金をへらそうとするなんてとんでもないと思うんですよ。*2

*1:なぜなら紙に印刷してバラまけばいくらでも価値が下がる財でもあるから、不足する理由なんて本質的にはないからです。刷りすぎるとものすごいインフレが起きて世の中が混乱するので刷り過ぎも抑制されますが。

*2:たとえば、国有地を売って借金を返してますけど、あれ、世の中から通貨を吸い上げてるんですよ。