日本政府は市場原理で動いていたようです

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-35573120081222

与謝野馨経済財政担当相は22日、12月の月例経済報告発表後に会見し、(中略)「普段では決して許していただけないような、市場原理という原則から外れること」も辞さない姿勢を示し、その例として、株式買い入れ、日銀によるCP買い入れなどを挙げた。

はぁ?「政府の原則」が市場原理だったとは知らなんだ。

 市場原理は原理だから、誰かがなんとかしようとしたって、なんとかなるもんじゃない。政府が市場原理に反する事を市場でやろうとしたって、破壊的な事しかできないと思うね。

 18%の年利で金を貸すサラ金の会社の2013年5月償還の額面100円の社債が30円で売りにでてた*1らしい。

 金利どんだけになるのかな?

 どんだけの社債が半値を切ってるかしらない。けれど、国債以上のクーポンに転換権までついてて、半値で買って、半分の会社が生き残ればうんとこ儲かりますね。

 で、市場原理が仮にあるとしたら、「資金のある、国債持ってる機関投資家」が買わない/売りに出すって事は、「半分は生き残らないから国債買った方がマシ」って賭けをしてることになるわけね。

 今のリスクプレミアムって、事業会社のリスクプレミアムなのかな?
http://www.j-cds.com/jp/index.html
 現況で国債*2社債のスプレッドは拡大してるけど、これ、本当にその会社の「リスクプレミアム」なの?

 まがりなりにも市場があって、市場原理っぽいものがあるとしたら、「一流企業がバカスカ倒産する可能性が高い」か、「機関投資家の資金が足りない」のどっちかでしょ。

 携帯電話会社とか、航空会社のCDSのリスクプレミアムが年率10%超えてるけど、消費者保護に本腰入れてるはずの政府は免許取り上げるでもなく、投資適格の格付けに文句つけるでもなく放置してるよね。なんで?

「倒産する可能性が高い」とは思ってないからだよね。

 じゃ、政府としては「一定以上の確率で企業が生き残る」ほうにすでに賭けてるわけだ。その賭けが妥当なら「金融市場に参加してる機関投資家の資金が足りない」ってことになるよね。

 政府*3や日銀*4が参入すれば、資金不足を緩和して機関投資家の行動を多少自由にするし、政府自体も市場原理に従って値下がりしたものを買って、値上がりしたものを売れば儲かって財政を再建できるわけで、誰が困るの?

 当然の事だけれど、政府も日銀も市場でポジションをすでに持ってる。とっくの昔から金融市場に参加する機関投資家の一員だよね。そして、お互いに自分に有利なように行動すれば、お互いにメリットが生じるってのが、基本的な市場原理だよね。

 今の今までさんざん出し渋って「よいデフレ」とか言って市場の声を無視して、過小供給で国債とキャッシュの値段つり上げといて.......もっと早く市場原理に従えば傷は浅かったんじゃないか?政府と日銀が張ってたポジション*5を政府自身が理解してなかっただけなんじゃないの?

 ひょっとして、「市場原理に反する事」ってのは、社債がディフォルトしたら「お国に迷惑かけるつもりかこの非国民め」みたいな事言って、他の債権者に優先して無茶な取立するとか、そういう事考えてんの?

*1:http://jp.reuters.com/article/treasuryNews/idJPnTK022889820081219

*2:五年ものだと利回り0.8%台

*3:サラ金屋の1/30のコストで資金調達できる。

*4:全部印刷した紙幣で供給しても50円のコストで一万円を供給できる。

*5:機関投資家は資金が潤沢で、企業がバカスカと淘汰され、政府自体も破綻する方に賭けてきた。