非正規雇用の雑感

へんだな、と思う事。
政府部門での非正規雇用というのは昔からある、と書いた。

その続きで10年前の話を書く。
例えば、時限立法による特殊法人に雇用される人は、最初から非正規雇用にしかなりえない。5年ごとの延長法案が可決されなければ、そこで雇い止めである。事業の継続性を前提にする組織とはまったく性格が異なる。

 で、公団職員なんか珍しくなかったわけで....彼らは公務員や民間企業より不安定な身分だったわけだ。

 過去には、事業の継続と雇用の継続という前提を置かないかわりに、公団は公務員を参照してより高い給料が支払われた。
 継続の仕組みを置かない事で経営上得られるメリットの期待の裏には当然コストアップがあったわけね。
 研究者とかでも同じだった。期限付き雇用の場合は当然正規雇用の同ランクの職員より給与が高くなった。部下が期限付きだから部下の方が年収が上なんてのも発生していたように思う。

これみんな過去の話ね。
 たった十年で非正規雇用は給料安くて当然みたいな話に変わってきてる。

 不安定な雇用であるということは非自発的な失業が一定確率で期待されるわけで、それを補償するメリットが提供されなければ対等ではない。さらに、博打は打ち手が対等ならば負ける人がほとんどだから、リスクファクターがからめば当然に補償は対等以上に要求されるのが普通じゃないの?

 個人的には1年更新、3年以内継続の場合、同一生産性の正規雇用労働者の1.5倍程度の手取りがなければ同一水準の賃金ではないと考えている。(平均的に4年間のうち1年間は仕事がなく、リスク補償としてプラスαくらい。)

 で、今起きている事をみると、非正規雇用のリスクをカバーできるだけの人件費を払えない貧困企業*1が、非正規雇用を拡大して来た結果っていう話の方が多い気がする。

 なんで最低賃金に「正規雇用限定」がついてないのか不思議だよなぁ。

#僕が某経済学者を信用できないのは、金融機関に自社のリスクに見合った金利を払えてるけど、日銀の誘導金利が低いからゾンビ企業とか言うくせに、自社のリスクに見合った給料を払えてない事を公的に市場ルールを変えてもらって生き延びた企業を(おそらく故意に)ゾンビとは呼ばないあたりかな。もちろん、ルールを急に元に戻してもゾンビだらけになっちまったから元の鞘には戻らないわけですが。

*1:精神的貧困を含む。貧困政府も。