どうしてそこまで株主の出資責任と金融機関の貸し手責任が保護されるのかよくわからん

日本航空の再建問題なんだけど、会社が潰れそうな時にパイロットがグリーン車に乗ってるのが許せない経済学者とかもいるようだけど、おいらはそれは気にならないなぁ。
 過去にパイロットのストレスで飛行機を墜落させた事がある航空会社が安全確保目的でそういう規則を組合と同意の上で定めてるというだけの事なんだろうと思う。
 これがフリーハンドになって伊丹から羽田まで飛行機に乗ろうとしたら、夜行バスに揺られて東京からやってきたばかりの過労ストレスフルパイロットが操縦桿握ってたなんて恐ろしいもんね。

そもそも公共交通事業で経営改善目的の安全基準見直しとかは、事故につながる恐れもあるわけで、余裕のない時には冷静な判断も期待できないだろう。
 今の問題は経営問題、つまり、債務超過or過小資本が問題になっているんだから、そっちをなんとかするのが先。

で、日本航空の債務をどうするか、というのが話題の中心で、それについての政府案がそろそろ出てくる様子とニュースで伝えられている。

で、その中身があまりにもお粗末で恐ろしい事になっているので、なんでこんな事になってるのか混乱した気分になっている。

そもそも日本航空の経営問題とは、日本航空が抱えている債務を全部履行する事は困難な状態になったと言う事。
株式会社の債務には履行の優先順位というものがある。

もちろん、履行済みの債務はどうしようもない。すでに会社の財産ではないのだから手を出せない。
で、債務の履行の順位は
1.破産の費用
2.担保つきの債務と賃金などの労働債務
3.余ったら社債などの一般の債務
4.余ったら株主への清算配当金の支払い
みたいな順番なわけね。
経営陣を選出した責任のある「社員」(民法上の社員ね。株主の事)が一番順位が下になる。

でさぁ、伝えられてる中身をみると、頭痛くなる。
だって目玉になってるのが

  • 履行済みの債務の引き戻し(過去の役員や幹部に支払済の報酬をとりかえす)
  • 企業年金という名の「未払い労働債権」の大幅な放棄(親方に「オレが貯金しといてやるよ」と言われて会社に取りおかれた労働債権にすぎないでしょ。)
  • 政府出資(既存株主の権利は希薄化するが温存される)
  • 大幅な人員削減(事業が大事だから会社を再建させるのに、事業は大幅縮小)
  • 破綻した場合に比べ非常に少額な一般債権の放棄

日航の再建につながる「経営に使える資本金を確保する事」よりも、どう見ても「株券や社債を持ってる人」の権利を優先してるようにしか見えないのね。

これ、日航退職者の人は、債権者として会社更生法の適用申請した方がトクなんじゃないの?