ダイエ●と電鉄系スーパー

近所にいわゆるスーパーマーケットが2店舗ある。電鉄系とダイエ●である。駅徒歩圏であるので車利用の難しい立地で、駅前の環境で無理に車で乗り付けられると店舗周辺が荒廃した印象になり、違法駐車等で危険になる。そして、近隣住民は車で乗り付けてる人と同じくらいのコストで電車に乗って別の場所に行けてしまうのだ。2km圏内に駐車場数千大規模のイト●ヨ●カド●ができた事もあり、いずれも経営は楽ではなさそうである。
 売り場面積では郊外型イト●ヨ●カド●を10として、ダイエ●が3、電鉄系が1といった感じである。
 電鉄系はそこそこ益が出ている感があるけど、ダイエ●の方はかなり難しそうに見える。
 何故やばそうに見えるのか考えてみた。
 価格と品揃えは、取り扱い品目数で2:1であるが、ダイエ●が勝っている0.9は衣料品で、0.1が家庭薬である。ダイエ●の衣料品売り場はいつ見ても人がいない。価格もユニク■より高いくらい。分野的に共通する食品と生活雑貨の品揃えは数の面で大差ない。
 大きな違いは価格の分布である。ダイエ●は薄利多売だけあって、同一品種であれば低価格品に集中し(たとえばジャムでは最高額のものと最低額のものは3倍程度)、低価格品しか売れていないが、電鉄系は高額品も置き(ジャムではtiptreeまで置いてる)、それもそこそこ売れている。
 つまり、ある程度リスクはあるが、売り場床面積に応じた以上の利益の出る商品がダイエ●にはないのだ。売れたところでそこそこ売り場面積に応じた利益しか出ないし、その程度の利益は衣料品売り場のコストで帳消しになって、赤字になるかならないかのライン付近でアップアップしている。
 さらに売れ残り商品の処分も対照的だ。比較的売れ行きが悪かった高額商品はダイエーではいつまでも棚にあるようだが電鉄系ではとっとと半額(おそらく仕入原価水準に近いだろう)に下げている。そうすれば低価格品しか買う気がない顧客も思わぬ高級品を手にするチャンスが生じる。いつそのチャンスが発生するか予測は困難で、必ず電鉄系の方に立ち寄る習慣が生まれるかもしれない。
 このような差異が発生してくる要因を長年の観測に求めると、売り場担当バイヤーのとれるリスクや、店長のとれるリスクの幅が圧倒的に電鉄系の方が大きいってことがあるようだ。お気に入りの牛乳が棚から消えた時、「お客様の声」って投書箱に「復活希望」してから棚に並ぶまでわずか2日くらいだったのだ。接客担当が即日売り場担当に伝え、その判断で店長に一言いってすぐ発注をかけないと、そのスピードは出ないだろう。おそらく電鉄系は「バイヤーにはリスクは必ずある、赤字になる商品もあるだろうが、赤字になる商品も含めて店舗全体に利益をもたらせばそれでOK」って考え方のようなのである。
 一方でダイエ●の方は徹底して個人プレーを禁止し、会社全体一丸となってプレーするスタイルみたいで、すべて方針は上意下達ぽい。「お客様の声」を投書する気もしない。(店員からみて雲の上の人の方針だというのは、売り場主任クラスの店員と話をすればすぐわかる。会社の方針なのか、店長以下の層がリスクをとれないほど恐がりになったせいかはわからないが....ともかくエブリデーロープライスを金科玉条としているようだ。)
 ウォルマ●トのエブリデーロープライス戦略は低能力な店長やバイヤーによる収益低下リスクから会社を救ったかもしれないが、大規模な事業再編をし、相対的に精鋭が残っているはずのダイエ●に合致した戦略なのだろうか?個人の能力を押さえ込んでまでローリスクローリターンを追求する事で会社の再建が可能なのだろうか.....なんとなく経営方針に疑問をもってしまう今日この頃なのだ。