みーてーるーだーけー

http://www.asahi.com/national/update/0715/TKY200607140643.html

パロマ工業製のガス瞬間湯沸かし器で一酸化炭素中毒事故が相次いでいた問題で、経済産業省はそれぞれの事故についてガス事業者から報告を受けていたが、今月上旬になって警視庁が複数の機種を挙げて「パロマ製品で事故が起きている」と連絡し、情報提供を求めるまで、20年以上にわたって対策をとっていなかった。

 耐震偽装事件では訴訟の被告になるまで役所はひとごとのような対応だった。エレベーター事故で事故機の事実上の使用許可を出し、検査結果の報告を受けていた役所がまるで人ごとみたいな対応を続けている。
 そして、ガス器具でも「報告を受けとっていただけ」だったようだ。

 事故は起きる前に防がなくてはならない。耐震偽装は財産の損失で済んだが、エレベーターとガス器具、車では人身被害が起きた。そしてはっきりしてきたのは、いずれも「民間が主役」で、事後の賠償はともかく、役所が事故を防ぐ積極的な役割を果たせないようだって事だ。

 それもそうだろう。土光臨調からから小泉政権までの改革の成果で、政府も地方自治体も特定分野に長期的に関わっていくプロパー職員は激減した。国民の保護のために腰を据えて仕事ができる役人は、もう役所にはそう多く残っていないだろう。*1
 「小さな国家」の典型として言われるのは「夜警国家」だけれど、我が国ではもう20年も産業投資と所得移転(例えば年金)という「福祉国家」機能を維持するために夜警としての能力を切り詰めてきたらしい。*2

 ここからさらに5%定数削減って話だから夜警機能はずたずたになるだろう。これからの政府部門にはみてるだけみててもらって、事故が起きてから賠償してもらったり、証拠を出してもらったりと言ったつきあい方になっていくのだろうな。
 事故を未然に防ぐのは企業と一人一人の実力でやるって事ですかね。土光氏以降、宮内義彦氏あたりまで多くの企業人が政府を指導してきたのだが、とてもそんな覚悟があったようには見えないと思うのは私だけだろうか。

*1:今気がついたけど、僕が有権者になってからこのかた、ずっと政府部門の縮小が声高に叫ばれてきたんだった。

*2:そういえば、警視庁も要人警護能力や対テロ能力を上げる一方で、人件費の不足で交番を維持できずに大量に廃止するようだ。