認識の相違.....農地転用の規制は何を縛っているのだろうか?

http://bewaad.com/20061231.html#p01
にあるごく一部の文言に、なんだか納得いかなかったのを消化してみる。

農地転用問題について、供給を規制で絞るからこそあれこれ問題が起こるのだし、転用価格が(農業に係る)収益還元法で算出される価格より高いというのは、そこで農業をやらないほうが効率的であることを示しているわけですから、転用を厳しく制限すべしという筆者のご主張には納得できない

そもそも地価というのは土地を占有している人の投資の単純な成果ではない。ある更地の土地が高い価値を有するとしたら、周囲に道路を通したり、電気や水道がつながっていたり、あるいはすてきな商業があって人通りがあったり、住みたいなと思う人がいるような環境にある事を示している。土地の利用価値というのは必ずしもその土地の価値ではない。で、市街化区域内農地を除くと、転用された事によって電気や電話といった民間公共事業や行政サービスなどでは投資の義務が発生する。
 私には農地が高い転用価値を持つ理由の一つは需要がある事よりも、社会的なサービスをフリーライドで享受できる事によっているように思えるのだ。だから行政の無駄な肥大化を防ぐためにも、転用に制限をかけるか、転売益が社会的に十分還元される仕組みを用意するかのどちらかが必要である気がする。

 例外にした市街化区域内農地であるが、こちらはあらかじめ社会的投資が予定されている地域にあるわけで、転売に規制をかけるべきじゃないことになっている。しかし、10年以内に先行して社会的投資を完了する市街化区域内にあって、農地にも宅地並み課税して15年ほど経過しているにもかかわらず、実際に転売される前に道路整備などの社会投資に成功している自治体はない。そもそもの宅地の課税がインフラの維持費に加えて投資をするほどには十分でないのだけれど、インフラなしで宅地並み課税してるのはやらずぼったくりだと言われてもしょうがない。
 生産緑地などで課税を免れ、規制をうけている部分については将来の道路や公園用地として自治体がつばを付けているって事なので転用を求める前に買えるなら買ってしまえばいい。
 1970年以降宅地の需給は緩みっぱなしで、空き家率は全都道府県で上昇を続けている。日本中どこへ行っても基本的には住み替え需要しかないのだが、それでも地価が上昇するのは供給がしぼられているからではなく、「将来の規制緩和への期待」と「安い所有コスト」の賜物*1で、そのような市場介入を決めているのは政府だと思うのだが。

*1:課税を上回る投資(実質的な補助金の交付)が期待できるので、売るより空き家を持っていた方が「リスクなしに儲かる」ということ