なんともはや.....

 世の中には偽科学を信じてしまう人がたくさんいる。
 水伝の時は、偽科学を信じてしまう人が結構いる、という認識がある程度共通していたから、あのような盛り上がりがあったのだろう。
 こういう偽科学を信じ込んでしまう人というのは、一体どういう人格なんだろう。私も偽科学を信じてしまう事もあるかもしれない。

 あの時には、偽科学の妄信を防ぐために科学者にできる事、一般の人にできる事なんてのを考えていたのだが、具体的な被害者として「騙されるコドモ」に限定してみんな心配していた気がする。
いい大人が偽科学に騙されるという事は少なくとも私はあまり深く考えなかった。
最近、『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』という本の書評をブログで書いている大学の先生がいて、それを読んで、偽科学を信じてしまう大人というものについて、ちょっと考えてしまった。

書評では延々と例が続くが、例示の仕方がまずいのでなければ、書評の本はニセ科学やダメな議論の集大成という感じである。*1
しかし、この書評を書いた人(大学の先生)は、下に列記するような疑問を持つ事なく本に書いてある事は科学的であると信じてしまったようなのだ*2

  • ほとんど量的に存在しないペットボトル→ペットボトルのリサイクル効率がどうして資源の消費量と廃棄物量を規定する仕組みの代表例になりうるのか....効率の低下はリサイクルの仕方の問題なのかそれともリサイクルそのものが本質的に効率の悪い行為なのか.....
    • 本によればペットボトル→ペットボトルのリサイクルは効率が悪い。リサイクルのせいでどんどん資源が浪費されるらしいです。
  • 対人で無害だがげっ歯類の一部に対して極めて毒性の強い物質が環境中に拡散される事についてどう考えるべきか.....
    • 本によれば実験動物においてはダイオキシンの毒性はものすごく強いけど、人間に対してはたいして強くないので、ダイオキシン対策は無駄らしいです。
  • ちょっと環境ホルモンの定義を調べてみよう...ふうん、今では誤解を避けるために内分泌撹乱物質って言う言い方をするのね......マスコミと違って科学者はこういう風に取り組むんだ
  • え、温暖化で海面が上昇しないの?じゃあ、現在より暖かかった縄文時代の海面が現在より高かったのはどのように説明されるんだろう......
    • 本によれば温暖化によって海面上昇する事はないそうです。

「小学校の社会科見学で得た知識を活かす」、「わからない言葉が問題になっている時は調べる」、「見落としがないかチェックしよう」なんて事はないのだろうか*3

大学の先生というようなまさに科学の内側の人ですら、このようになるのだから、私も偽科学を信じているのかもしれない。気をつけよう*4

*1:ただし、環境科学というのは特定の科学の主張だけが通ればいいわけではなく、環境=人間ないし人間社会を取り巻いているもの、あるいはそれと人間ないし人間社会の相互作用について総合的に研究するものであると私は考えている。だから、私にとっては一面だけの理解でよしとするのは環境科学的ではない。オルテガ流のパースペクティブというのは大事だと思っているので、一面的に偏った環境科学というものが存在するとしたら、他の面にも目を向けようとする努力の必要性は認めていきたい。

*2:リンクを貼ってトラックバックを送ろうかと思ったが、特定のブログを貶める意図はないし、トラックバックをたどってくる人がたくさんいても煩わしいのでやめた。ブログ主に嫌がらせされても困るし。

*3:そういえば、小学校のとき習ったグラフの書き方と、エクセルのデフォルトで出てくるグラフは違うが、デファクトスタンダードのエクセルが正しいような事も過去に書いていたような......私の知っている少数の研究者ではエクセルには正しいグラフが書けないのでグラフは別のソフトで書くという人ばかりだが

*4:小学校時代の体験や勉強って大事だよな。教科書通りに理解するかどうかは別にしても.....