とりあえず著者の方にあたってみた

 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』の著者の主張について簡単に見られる範囲をみわたしてみた。
 資料をあたり、調べた結果を書いてあるらしい。ちゃんとしたものだ。
 しかし、あまり多くの事にあたって総合的に考える人ではないらしい。
たとえばペットボトルのリサイクルであるが、

  • 我が国ではペットボトルの使用はリサイクル性が低いため、政府と業界が使用を規制してきた。実際、そのまま自由化したらペットボトルの処分義務は地方自治体の責務となり、自治体の経営を圧迫する事はわかり切っていた。リサイクル義務化は、規制緩和の流れの中で規制を維持する事が困難になり、使用を自由化する代わりに製造者が処分費用を単純に外部化*1する事を許さずリサイクルを義務づけたものだ。

 なんて話は出てきそうもない。
 しかし、まじめに取り組んでいるだけ話を鵜呑みにして喧伝する人よりは、著者に好感が持てた。なぜなら例えばLCAなどに真面目に取り組んでいる人などがこの本に反論する事でより多くの知識を得る機会を与えられるかもしれない。リサイクルに取り組んでいる人だって、盲点をついてくれるような指摘は生産性の向上につながるので、基本は大歓迎だろう。盲点が外れてたら残念だけど、Thank you.But....という程度の事だ。
 環境原理主義者失格な、中途半端なリサイクル関係者にとって、多分この本は有用な本だ。

 つかみに使われている部分はトンデモ話にはちがいない。トンデモ話を鵜呑みにする人と、トンデモ話を発信した人、どっちがトンデモか、というわけではないが、鵜呑みにして喧伝する人よりはこの本の著者はマトモな人であると思った。
 不幸なのは、多くの読者がこの本の読むべき所を読む意志を持っていないだろうと思える事だろうか。

*1:自治体にツケを回す事