共存共栄の終わり

bewaadさんのエントリ
ブックファースト渋谷店閉店」

とてもショックです・・・これでは渋谷に大型書店と言える店舗がなくなってしまうではないですか。

http://bewaad.com/2007/04/27/90/
に関連して思った事。
コメント欄でkogeさんが、学生の町京都での丸善の閉店をなげいていらっしゃって、ちょっと感じるものがあった。

うーん、学生街で本屋ってやっていけるのかな?
学生さんの使う支出の構成見たら儲かるのは服屋と雀荘と飲み屋とパチンコ屋、続いてラーメン屋あたりが売り上げを伸ばせて、それらと立地を競って生き残るのは本屋にはつらいのではないかと思いますが.....

 で、これまでインテリゲンチャが集まって本屋が成り立ってきたような場所に大学が移転してくるとか、その他の要因で商業を営む条件が変わると本屋さんはなくなっていっちゃう事も多いわけです。ある程度の規模の本屋が成り立っている事はある種のヒトにとって必須の生活基盤ですし、そういう人が住める文化的に成熟した地域であるというシグナルでもあるわけで、そういうシグナルがあると他の地域に比べて少し違う人たちが集まってきます。
 で、そういうシグナルは実際に本を読むかどうかに関わりなく、ちょっとお金のある人たちをひきつけて、家賃や地価が周辺よりちょっと高くなったりするわけです。
 というわけで、阪急が本屋で狙ってるのは本を読むごく一部の階層を沿線や拠点に引きつける事と、その事の発するシグナルを利用する事の両方だと思います。
 一方の丸善は本業で儲ける気がなくなってITに打って出たので退場は既定路線のうちでしょう。*1
 ブックファーストの展開と丸善の撤退の時期が近いというのは興味深いですね。
 また、沿線に何の利権も持ってないがために、駅近だろうと駅中だろうと儲かればなんでもやるJRのようなスタイルとも対照的に見える。

 実はブックファーストはあまり利用していないが、おそらくは二兎を追う計画の中で、周到に一定水準の利益を上げられるように業務や店舗の形態を設計し、沿線以外に出店しても十分株主の満足する収益を上げられるということで東京や地方都市への展開などが進行しているのでしょう。*2

 で、とりあえず大型書店については独立した資本で共存共栄なんていってられないようなので、私鉄系資本と共生するというのは一つの解のような気がする。渋谷ということは東急、京王のターミナルがあるわけだけど、東急の書店部門というのはみつからなかった。
だとすると、bewaad氏の悩みに応えてくれそうなのは京王系の啓文堂だろうか?

*1:今はどうか知らないけど、ITバブルの頃に本社ビルを証券化した資金で販売員[書店ノウハウのストレージそのもの]のクビをたくさん切って情報関連に投資するって経営計画だったような。特別損失出して株価が急降下したときに頑張ってほしくて株主になりましたが、頑張る気はないってことで売らせて頂きました。かなしかったけど、もうかった。

*2:実際にはブックファーストの東京進出準備と丸善の特別損失の時期が重なってる感じ。新規参入の方が一般的に不利だとすると、丸善の経営陣は自分達にどんな資源があって、何が欠けているかを理解しなかったのだな、たぶん。