地方自治体は何でもかんでも告発したりはしない

刑事訴訟法の規定で違法行為があった場合には告発しなきゃいけないとなってるけど、自治体の現場で見られた違法行為をなんでもかんでも告発していいわけでもない。だから「たまたま誕生日の前日になんかの届出をしようとして書類に生年月日と矛盾する満年齢*1を書き、公正証書元本不実記載で告発される」なんて恐ろしい事にはなっていない。
 法的な機関に訴追を促す事を告発というのだから、訴追の意思のない告発というのは告発じゃない。だから地方自治体が告発できるのは「必要な行政上の処分に加え刑事処分を求めることで法秩序を維持する効果がより期待できる」場合だけだろう。
 厚生労働省も給料泥棒であるサービス残業について企業に勧告するだけで、労働基準法違反(刑事犯)で逐一告発するなんてことはしてないはずだ。違法行為の存在を業務上認知しつつ告発しなかった事をもって地方自治体の信頼が地に落ちたというならば、厚生労働大臣の信用なんぞ地獄に堕ちている。
労働基準法

第三十七条  使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

第百十九条  次の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一  第三条、第四条、第七条、第十六条、第十七条、第十八条第一項、第十九条、第二十条、第二十二条第四項、第三十二条、第三十四条、第三十五条、第三十六条第一項ただし書、第三十七条、第三十九条、第六十一条、第六十二条、第六十四条の三から第六十七条まで、第七十二条、第七十五条から第七十七条まで、第七十九条、第八十条、第九十四条第二項、第九十六条又は第百四条第二項の規定に違反した者

*1:選挙の立会人をやった経験では、選挙権がないのに案内が来たという問い合わせが非常に多かった。誕生日の前日に満年齢を繰り上げて書く人はむしろ稀だろう