水戸地裁の柵の塗り替えに関するコメント
町村先生のところ*1で既にコメントしたのだけれど、ちょっと書き足したくなって、さりとて、あちらのブログの趣旨とずれても困ると思ってトラックバック
もともとの記事は
水戸地裁(加藤新太郎所長)が、地裁を囲むさくを県の色『いばらきブルー』に塗りたいと市に相談したところ、景観を損ねるとして市が難色を示している。「市景観条例には抵触しないが、色が鮮やか過ぎて目立つ」のだという。景観を守りたいという思いは双方に共通しているが、「青色」が景観を損ねるか否かで主張が分かれているわけだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071128-00000067-san-l08
というもの。
水戸地裁は「地域性」を主張するメッセージを出したいと言っているのであって、景観を守りたいなんて一言も言ってないと思う。裁判所としてこういうメッセージを打ち出したいからこういう色で柵を塗り替えるという、どっかのカメラ屋が壁をどピンクに塗ったのと同じ論理ですね。
町村先生は色彩センスに自信がないとおっしゃってますが、色彩センスではないセンスの問題という気がします。
たとえば、水玉模様の好きな首相が水玉模様のネクタイをしていたらセンスの問題です。でも、水玉模様の背広を着てたら「背広を着る社会」の許容できるコモンセンスの範囲外にある気がします。*2
電鉄会社でも電車を一色塗りするJRの一部*3みたいなのは少なくて、実用色の電車にコーポレートカラーの帯をつけますよね。
黄色一色で塗られた楳図かずお邸を見ましたけど、さほど気になりませんでした。街並の中の一部に見えるようにデザインされて、部分的に主張のつよい家があるな、と受け入れられたからだと思います。
で、裁判所の写真を見て見たのですけど、
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/a0/Mito-District-Court-Tsuchiura-br200605.jpg
↑のような場所でこの規模でぐるりを取り囲む柵を青一色で塗るのはどうかと思いますね。しかも現況では背景の植栽にマッチさせて濃い茶色。
メッセージとして県の色を使いたければ、門の左右の塀の部分に青いラインでも入れれば十分です。
色彩センス以前に、メッセージの主張は看板的な部分に納めるという一般常識がないんですね。
このあたりで「うちは商店街のイメージカラーで一色塗り」、「うちは町内会のイメージカラーで一色塗り」、「うちは市の..」「うちは県の...」ってみんながみんな好き勝手に色で自己主張したらまとまりのない街並になるでしょ。あたりまえじゃない。*4
単に自己主張したいだけの人に対して、「景観を守りたいという思い」とか寝ぼけた事言えちゃう産経クオリティに脱帽です。