医学雑誌とYahoo!知恵袋、どっちが役に立つか

http://www.asahi.com/science/update/1224/TKY200712240119.html
暗い所で本「目悪くなる」 医学的根拠ない、と米チーム

「暗いところで本を読むと目が悪くなる」「毛をかみそりでそると濃くなる」など、米国で一般によく信じられている体に関する言い伝えについて、医学的な裏付けがないばかりか、誤りのものもあるとする研究を米インディアナ大のチームがまとめた。22日発行の英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」クリスマス特別号に論文が掲載された。
 米国で医療関係者にも信じている人がいるという言い伝えを七つ選び、文献データベースやインターネットの検索で医学的な裏付けを示す研究があるかどうかを調べた。
 その結果、七つとも医学的な裏付けは見つからず、80年近く前の研究ですでに否定されているものもあったという。

これ、チームでやってこんなもんなのか?
「私たちは脳の10%程度しか使っていない」説とか今更否定してるけど、神経細胞が脳の10%くらいしか占めてないのは有名な話で、残りのグリア細胞の役割がわかっていなかったから、そういわれていたらしいというのはちょっと調べればすぐにわかると思うのだが。どうしてこういう否定の仕方になるのか意味不明。ろくに調査してないんだろう。ウィキペディアの著者だってもうちっと調べている。
 裏付け文献見つからなかったのか?本当に検索したの?
画像診断や代謝の研究がこの俗説の否定に貢献したという証拠は何だ?第一に跳躍伝導の研究じゃないのか?*1
アメリカの医学界は画像診断や代謝の研究が進むまでこの俗説信じてたのか?

ウィキペディア「脳」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%84%B3

約140億個の神経細胞を含むがそれは脳をなす細胞の1割程度であり、残りの9割はグリア細胞と呼ばれるものである。グリア細胞神経細胞に栄養を供給したり、髄鞘を作って伝導速度を上げたりと、さまざまな働きをする。「人間は脳の1割ほどしか有効に使っていない」という俗説があるが、これはグリア細胞の機能がよくわかっていなかった時代に、働いている細胞は神経細胞だけという思い込みから広まったものと言われる。

「暗いところで本を読むと目が悪くなる」に対する否定は凶悪。
専門医学的に考えると故意に問題をフォーカスから外す事ができるという迷惑な主張だろうと思う。多分チームのメンバーは近眼で遠くにフォーカスを合わせる事ができないのだろう。メガネかコンタクトレンズの装用をおすすめしたい。*2

Yahoo!知恵袋はこういっている。眼科専門医も一般から質問を受ければ、こういう解答をするのではないだろうか。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1111371611

暗いところで本を読むと、光量が不足するので、どうしても目を近づけて
読むことになります。
10cmとか、20cmとか。
目の焦点を近い距離に合わせる時間が続くと、眼球の中の水晶体(レンズ)を
調整する筋肉が弛緩したままになります。
それがしょっちゅう続くと、目のピントを遠くに合わせることが困難になります。
要するに近眼。
すなわち、暗い所で読むから目が悪くなるのではなく、目を近づけて読むから
目が悪くなるのです。
本は、明るい所で、目を離して読みましょう。

まあ、間違っているのだけれど。*3
特に我が国ではチームマイナス6%とかが跳梁跋扈*4しているので、勤労者の目の健康を損なう主張が出てこないか心配である。

*1:追記:アインシュタインの脳の解剖所見で「神経細胞は普通だがグリア細胞が良く発達していた」という事実はよく知られている。そして当時はグリア細胞の役割はよく知られておらず、脳の9割を占める部分の機能は謎だった。跳躍伝導の発見でグリア細胞の役割を強く認識したという人は我が国にはたくさんいる気がするが......

*2:保健医学まで含めた医学では言語道断の主張なのではないかと

*3:筋肉が弛緩したまま、ではなく緊張したままになる。近視の原因はよくわかっていない。しかし、「暗い所で本を読むと眼精疲労を起こす」のは多分正しい。そして眼精疲労というのは「目が悪い」状態なのだ。

*4:参考:http://d.hatena.ne.jp/kumakuma1967/20070828#p1