改革の成果

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080411ddm041040156000c.html

JR中央線・変電施設火災:影響50万人、運転再開 原因は漏電か
 東京都国分寺市のJR中央線国分寺駅近くの変電施設で10日朝発生した火災の影響で、午前8時前から東京−甲府間の運転を見合わせていた中央線は同日午後3時、全線で再開した。計411本が運休し約50万人に影響が出た。11日は始発から平常運転する見通し。
 JR東日本の調べでは、原因は漏電とみられる。変電施設内の5台のブレーカーのうち1台が焼損し、変電所隣の通信機器室(旧信号所)の信号ケーブルの一部も焼けていた。焼けたブレーカーは作動しなかった可能性が高く、漏れた電流によってケーブルが焼けたとみられる。07年12月11日の定期点検では異常は認められなかったという。

 漏電っていうとかわいく聞こえるけど、起きたのは地絡ってやつらしい。10両編成の電車を結構な数動かせるエネルギーの電力を直接地面に流しちゃった。んで、隣のマンションや鉄道施設から発火して、熱によるものか、メタンガスが燃えたのかはわからないが、マンホールの蓋まで吹き飛んだ。周辺の地下に埋まっている施設にどのくらいのダメージがあったのかの全体像はわからない。

 起きて当たり前といえば当たり前の事故という気がする。
 鉄道と言うのはそれほど儲かる商売じゃないから、JR東日本が鉄道設備に一億円投入して得られる利益に比べると、エキナカ商業に一億円投入したり、スイカに一億円投入した場合に得られる利益は圧倒的にでかい。

 また、他の私鉄は不動産部門や流通部門と一緒に成長して来たが、JRはそういった分野への投資が十分行われていない状態で民営化されていて、非運輸部門の投資のうまみは非常に大きい。だから、資本としてのJR東日本が路線の保守管理に十分な資金を投入するのは「不合理な判断」ということになる。

 もちろん、駅があってこそのエキナカだし、定期券あってのスイカなんだが、列車が転覆したり停まったりして、弊害が起きて、賃料が下がったり、決済額が落ちたりするようなら鉄道にも投資をしなくてはならないことになる。が、おそらく事故で評判が落ちることによる不動産部門や金融部門のダメージというのはろくに量ってないのではないかと思う。

 そういうわけで、JRでは点検回数を減らし、レールや設備の交換基準をゆるめて支出圧縮に余念がない。国鉄時代には見られなかったような異状が多発するのは当たり前だ。

 山手線で続発している「信号故障」というのは、レールにヒビが入って、ヒビが成長して完全に割れ、レールに電気が通らなくなって発生するらしい。JRになってからは、レールの設備点検や施工をするのはJR自身ではなくてアウトソースされた先になっている。山手線じゃないけど電車の脱線が起きかねないようなバカでかい破断が見つかったケースなどではJRは点検ミスと主張しているが、アウトソース先では「仕様通りに点検しても異常はなかった」と言っていたりする。JRとしてはアウトソース先に責任をひっかぶせたいし、アウトソース先はちゃんと仕事したと主張して犯人探しのいいあいはあるのだが、どうも「レールをきちんと保守管理する」方向の話にならないようだ。
 そもそも民営化後の経過時間を考えると、JRにどのくらい「保線のための仕様を書ける人」「保線の基準を書き直せる人」が育っているのかはとても疑問だけれど。

 まあ今日的の世の中では「責任をとる」=「課題を解決する」というよりは、「責任をとる」=「課題を放置して、生け贄を一人決め、職も退職金も失って苦しんでる姿をさらし上げる」ということなので、「がんばって責任の押し付け合いをして生け贄を選出すること」こそ民意に添っているのだろうとは思うのだが。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080410-OYT1T00835.htm

日本の衛星、故障多発で宇宙機構が総点検へ
 月探査衛星「かぐや」など日本の衛星で小さな故障が、最近相次いでいる異常事態を受けて、宇宙航空研究開発機構は、運用中の全16衛星について、不具合情報などを収集し、分析する大規模調査に乗り出すことを決めた。

だってあらゆる工程がアウトソーシングされて技術屋さんの居場所がJAXAにはないもんねぇ。
 もちろん技術屋さんは必要なんだけど、JAXAに統合される前に居た人たちは「逃げられる奴は全力で逃げる」と言っていて、現に凄まじい人材の流出が起きてるもんねぇ。どのくらいひどいかって言うと、使える衛星のデータを受信する人手が足りなくなって、受信を継続できないくらい。
 残った人もプロジェクト主義で自分の割当(論文出すとか)をこなせば評価高いけど、全体をうまく回す努力しても評価されないし。
 そういう組織にしたんだから結果はこうなるって話じゃないの?

 衛星が故障なしで打ち上がったとしても、目新しいプロジェクトがあればやっとデータが蓄積しかかった衛星の運用を打ち切るんだし、なんとなく見映えのいい打ち上げシーンがテレビに流れて、ちょこっと紹介できる程度にデータがとれれば衛星なんて壊れてもいいような気がする。

 改革の前に議論はいくらでもあったけど、「すでに決定は下された」ということで改革を断行したわけだし。改革派の「思い通りの結果」が出てるのになんか不満があるのだろうか?