バカというのは妥当なのかな?

反語という表現手法を許容できない人は読むと不快かもしれません。*1

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080415ddm041040088000c.html

障害者支援法:施設利用料、生活苦でも1割負担 都内の14歳、正式契約ないのに
 東京都内の知的障害児施設に入所する少女(14)について、父親(64)が施設と正式な利用契約をしていないのに、都が障害者自立支援法に基づき、利用料の1割などを負担させる「契約制度」を適用していたことが分かった。父親は生活苦で利用料などが払えないため、施設が経費負担を余儀なくされている。施設側は、契約制度の適用をやめて事実上入所者の負担が減る「措置制度」の対象にするよう求めているが、都は応じていない。

↑についてのrajendraさんのエントリを読んで思った事。

http://d.hatena.ne.jp/rajendra/20080417/p1
措置制度と契約制度

…うーん、父子家庭で、父親は老齢かつ腰痛持ちで、姉妹のうち姉は知的障害を抱えている、と。こんな絵に描いたような貧窮家庭に契約制度が適用可能とは、素人目にも思えないけれど。東京都は一体どういう根拠で措置制度の申請を退けたの?バカなの?

んー別にバカじゃないんじゃない?

 国は法律や解釈をいくら変えたって自治体の面倒なんて見ませんよってことなんだから、自治体があれこれやったってしょうがないでしょ。道路特定財源の不足で事業にストップかけてるのだって、不法解雇だけじゃなく法的にはやっちゃいけない事がいっぱいあるんだと思うよ。

 こういう制度には担当者は必ずいるわけですよ。
 今時の自治体ならたまたま担当した相手が措置相当なんて事が続いて連続して措置を選んだらペナルティにつながると職員が恐れていてもおかしくない。
 あるいは担当の上の管理職はまず間違いなく恐れてる。ということは、担当レベルにはほぼ確実に実質的なペナルティがあると考えた方がいい。

 地方自治体がそういうふうに制度設計してるんなら、インセンティブに沿った判断がでるようになってるんじゃないの?表沙汰になったから問題になってるだけで、担当者レベルでは運が悪かっただけでしょ、なんせ十何年もそういうの続けててもまれにしか突っ込まれないんだから。

 たとえば、東京都では、生活保護申請した人が保護相当の場合は、23区外、できれば東京都の外への引っ越しを強く勧めて(引越せない理由がない限り生活保護しない)るよね。少なくとも十年以上続けてるんじゃないかな?。あ、ちなみに埼玉県だと「東京都に引越せ」って言われるらしいですね。*2

 確率1/100で判断ミスを指摘されるのと、毎日サービス残業増やされて、自分や部下や同僚の一蓮托生で将来にわたって出世に影響するような判断されるのとどっちが怖い?しかも訴訟になったら裁判所はわりと市民感覚っぽいし。

 法律を真面目に読む人が馬鹿を見るようなインセンティブ設計になってるのに法律を正直に守るなんて「民間ではありえない」し、「市民感覚とは乖離」してるんじゃないでしょうか?

*1:はらわたにえくりかえる話なんだけどね。でも珍しい話じゃない気がするんだ。

*2:こういうの別に昔から普通でしょ、たとえば僕が学生時代には事実上文部省支配下にあった育英会は、「親の住所が東京都で建物が賃貸でない」学生には「処分可能な資産がある」ってことで奨学金出してなかったし(ローン残額によっては処分しても一円も残らんが)。店舗兼用とか貸マンションの一画に住んでるなら「処分不可能な資産」で、23区内の駅前に親がビル二軒持ってる学生も貰えた。