道路建設でどこに民間投資が起きるのか

 当たり前の事だと思っているので、あまりくどくどと説明していなかったけど、道路特別会計問題で毎日のようにうんざりするような議論を聞かされているので、「道路ができた時にどこに民間投資がおきると考えているか」ちょこっとメモ書きしておく。

 こういった道路ができる事で人とモノの交換コストが下がり、その地方と外の間の交換が促進される。特産品のようなものがあれば、その特産品はその地方から積極的に他の地域に出て行くだろう。また、従来は高価でも域内で生産するしかなかったモノやサービスは他の地域からその地域に入り込む。このことによってその地域の物価は下がり、労働需要は変化して人の移動も誘発される。

 都市と田舎の生産力の比率を考えれば、多くの財やサービスにおいて都市サイドが比較優位であり、このときに民間投資が増えたり、あるいは設備稼働率が上がるのは道路でつながれた都市サイドであって、田舎サイドではむしろ設備超過がはっきりして投資が縮小し、人が流出する。新たな支線がバックボーンネットワークに繋がったとき、収益や投資がどこで誘発されるかはわからない。インターネットでサーバーがどこにあるのか意識しなくてもいいようなものだ。*1

 したがって、政府が田舎に道路を通したコストを田舎から回収しようとしても回収は不能である。

 国際的に見ても地域と地域を結ぶ道路を建設する計画の立案や費用負担を部分的にでも地域レベルに持たせている国は珍しい気がする。通常は都市と都市を結ぶ道路は国家が計画し国家が費用負担するものだと思うのだが。

*1:新たにFTTHで接続した人がいたとして、それで一番もうかるのはNTT東西会社でなくてgoogleかもしれない。