通産官僚ってこんくらい非常識でもやってけたんでしょうかねぇ

読売新聞:ガソリン価格「連休中は値上がりしない」はずが…甘い政府
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080401-1819737/news/20080501-OYT1T00650.htm

 町村官房長官は4月23日の記者会見で、「どのスタンドも(安い税率で仕入れたガソリンを)タンクいっぱいに貯蔵して備えていると思う。全部使われるのに1週間くらいかかるのではないか。連休中に一気に値上がりすることには多分ならない」と述べていた。

何人かの人が3月末の在庫を最小にして、四月末の在庫を最大にすればおいしい話になると書いていた。それが可能なガソリンスタンドは儲かるだろうという事で、全体が儲かるわけじゃない。
ガソリンの生産、消費、在庫がどんな数量なのか、↓に行ってちょっと調べてみたよ。
http://www.paj.gr.jp/statis/statis.html

ガソリンの生産量は毎月平均4,862,000kLくらい。
ガソリンの輸入量は毎月平均 74,000kLくらい。
ガソリンの販売量は毎月平均4,981,000kLくらい。
ガソリンの在庫量は毎月平均2,028,000kLくらい。

だいたい月間生産量の4割くらいの在庫がある事になる。

この在庫がどこにあるかが問題なんだけど、ガソリンスタンド一軒あたり60kLのタンクのうちガソリン用が40kLとする。全国のガソリンスタンドが50000件あるとし、全部のタンクを一杯にした容量は2000,000kl。確かに在庫のほとんどがスタンドにあることは不可能じゃないですね。

一日あたり販売量は4981000kL/(50000*30)=3.32kL
流通の混乱で入荷が3日待ちになる可能性があって、通常の1.5倍の人が殺到する可能性があるとすると、三月末のタンクには15kLは欲しいですね。*1

 絶対に15kLを下回るのはダメとして、通常4kL単位で発注できる所、非常事態でタンクローリー一台相当で発注しなければいけなくなってるとして、発注単位が16kLになってるとする。
 そうすると、頑張って三月末に期末には15-31kLの在庫をかかえる事になる。そうすると、三月末の在庫を抑制しようと思ってもアーラ不思議タンクには平均23kLの在庫が.......

 さて一方で期末。頑張って頑張ってタンクに隙間があいたら発注するようにしていたとして、やっぱり月末は混乱するから発注後到着まで3日かかるとして、4月28日のタンクの残量が24-40kLだったとします。そこから普段の倍の駆け込み需要があると、月末の残量は10kL-26kLしかありません。なんと平均18kL

そうすると、差の5kL分は、ガソリンスタンドがかぶらないといけない損失になるわけですね。
そうならないように、みんな必死になって努力してるわけですので、実際にはそれほどの損失にならなかったり、得をしたスタンドもあるのでしょう。でも、普通に考えたら即日上げないと間に合いません。

つまり、流通事情をちょっと考慮すれば、元経済官僚の官房長官が言ってるのは元々寝言だったとしか思えないんですよね。

追記:
発注単位が大きくなるという仮説が外れてて、通常の4kL単位での発注がまともに動いてたらそんなことでもないんですけどね。四月頭と月末はほんとにローリー単位でしか配送できなかったんじゃないかなぁ、と。
流通が混乱してる状況では、油槽所をもってるチェーン店とかディーラーとかじゃないと儲からないような気がしますね。

追記2:
ちなみにタンクの40kLってのはレギュラーとハイオクに別れてるわけで、一便のローリーに4タンクあってハイオク1レギュラー3またはハイオク2レギュラー2みたいなのを使い分けながらもっとタイトな在庫調整をやってたんでしょうね。

追記3:
四月末日に通常の何倍もの客が来てタンクが空になったガソリンスタンドは珍しくない。月初にタンクが空だったとは思えないので、彼らは相当の損を抱えたのではないか。

*1:そうしないと、多くのガソリンスタンドがうたう「安定供給」に反しますからね。