地球が寒冷化してる理由についての考察

昨日今日寒いのは台風に添って北風が吹き込んだからだと思う。*1

地球全体の暖かさや寒さを定義する事は難しいけれど、「地球の温度」が短期的(5年くらい)にエアロゾル硫黄酸化物の濃度に相関をもつ事は、堆積物と気候の関連で確かめられていて、エアロゾル硫黄酸化物が増えた後しばらくはいろんな定義の「地球の温度」で寒冷な時代が継続する。
 近年ではピナツボ火山の噴火があって、ラジオゾンデなどを使用して対流圏上部や成層圏エアロゾルの観測データとつきあわせられている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%8A%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%9C%E5%B1%B1

で、このタイムスパンの地球の温度が人為の影響を受ける事もまた良く知られている。
人類は1940年代前半には世界中で大量のエアロゾルの大放出をやってのけたけど、見事に気温を下げている。

そしてエネルギー革命でバイオマスから化石燃料にシフトして、工業化がガンガン進んだ時代にも硫黄酸化物を出して気温を下げてるみたいだね。

でも、バンバン硫黄酸化物を出してると人間は死んじゃったりするので、規制されて落ちついた。

で、短期的に気温を下げる効果が今一番ありそうなのは↓の中華人民共和国ですねぇ。
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/4020.html
彼らは脱硫が困難な石炭の使用量が大きいし、石油もちゃんと脱硫しないで使う。

短期的なトレンドについては、そういうことで.....

それと、太陽は比較的安定した周期活動をしているのが観測で明らかになってる。これは人工衛星で実測できるようになって1975年以降はまぁ信頼できるデータ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E5%AE%9A%E6%95%B0
2008年1月が太陽活動の極小ね。だから10年くらいのスパンで見ても寒冷傾向があってもおかしくない。

で、太陽活動には活発な時期とそうでない時期がもうちょっと長期的にあって、マウンダー極小期と言われる1645年から1715年頃には落ち込みを見せていて、その時は世界的に寒かったみたいね。で、かなり寒かった。

これは数百年のスパンで観測される事ね。

で、二酸化炭素濃度上昇による地球温暖化と言うのは、どういうスパンで考えられているかというと、まず始めに、第四紀学的なスパンで考えないと追いつかないほどの二酸化炭素濃度の上昇が観測された事を議論の端緒にしている。現在ほど二酸化炭素濃度が上がった事はここ50万年ほどはなかったようで、その間の「今より暖かい時代」にもここまで二酸化炭素濃度が高くなった事はなさそうだと思われている。
 氷河期と間氷期の繰り返しを超えた地質年代的なスパンでの地表面の温度の変化を説明できる要因は主に二酸化炭素温室効果だと考えられている。これに疑問を差し挟む人はあまりいないわけなんだな。*2

 「人類が地質年代的なスパンで蓄積された化石燃料に手を出した結果、地質年代的なスパンで観測されてるような二酸化炭素濃度変化がこの200年ほどにあったみたいだから地球温暖化を議論してる」わけで、5年とか、10年とか、200年とかのスパンでの気温の上り下がりを見ているのは、監視のためです。理論の構築と、その推定結果との比較のための監視はちょっと切り分けて考えた方がいいと思うんだけどな。*3

もちろん、二酸化炭素濃度が今くらいで氷河期が来なくなるほど地球が暖まるかどうかはまだ良くわからないわけだが。

追記:
気温が上昇すると、その結果二酸化炭素濃度が上昇するのは以前述べたとおり普通にある事です。陸上生態系の分解速度が上がるからね。ただし、蓄積速度を上回るスピードで分解するような事は考えにくいかな。その程度の二酸化炭素濃度の変化を相手にして温暖化が騒がれて来たわけではない。

建設的でない議論を建設的でないと言うだけではつまんなくなってきたので、↓の記者会見を紹介しておく。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2008/20080123/20080123.html

*1:たぶんそのせいなんだろうけど、時々コメントを書いている方のアンテナに相関日本列島なページがあって、つい見に行ったら寝言がたくさん書いてあった

*2:だから、100年ちょっとのデータで「気温上昇の結果としてCO2濃度が増えてる」という言説は地球温暖化の議論をする時にはあまり相手にされない。

*3:月別のGDP統計見て「戦後日本の景気を支配しているのは1ヶ月に含まれる日数だ」とか言うくらい寝言だとおもうんだよね。