ピグー税の課税と原油の値上がりは全く違う、と書いておこう。
http://d.hatena.ne.jp/kmori58/20080604/p1
以前、すでにピグー税かけられたも同然という記事で「日本も対応をせまられる」と書いたけれども、さっそくこのような動きが出てきている。
かつて環境省は炭素税の導入を提案していたが、その税率はガソリン1リットル当たりたったの1.5円だった。そんな金額で使用量が減るわけはないと思うが、まあ目的は代替エネルギー開発の予算獲得だったのだろう(もっともそんな少額ですら業界は反対していたのだが…)。
で、原油価格がこれだけ上がるともうそんなちゃちな税金はどうでもよくなってしまった。洞爺湖サミットで二酸化炭素排出削減について話し合われるみたいだけれど、この高値が当面続くのであれば、政府は別に何もせずとも、この郵便会社の例のように市場原理に従って自然とエネルギー改革が始まるのではないだろうか。
ピグー税がかかって、石油需要が抑制された場合、税収が国内で循環するのだけれど、原油価格が上昇した場合、産油国(と彼らの多くがペッグしているドル経済圏)、石油資本(って主にアメリカか)がとる。
1990年代、少なくとも中国が交易に乗り出してからは、石油の需給の緊張は見えていたストーリーだし、石油の使用を抑えなくてはいけない事も見えつつあった。
で、この「石油需要の押さえ込みを原油価格上昇の力でやるか、ピグー税でやるか」ってのはモロに石油使用抑制利権を「アメリカがとるか、石油消費国各国がとるか」って綱引きだったわけだ*1。
で、石油の消費量を抑制しなければならない事がわかってたのに、我が国は何もしない道をえらんで*2、結局我が国は負けたのだ、ということなんじゃないのだろうか?