誰がリスクを担保できるのか?

すなふきんさんのご意見を頂いたので、ちと考えてみて、あらかじめ用意していた意見と混ぜてエントリします。
http://d.hatena.ne.jp/sunafukin99/20090111/1231636440
誰がリスクを担保するか?という問題

だからこそかつて専門職種に限られていた頃の「派遣」が時給が高かったという面もあったと思う。しかし現実としては、不況の長期化で非正規労働の拡大(派遣労働職種の拡大含む)は一方では企業のコスト削減の要求から、他方働く側からはワークシェア的な意味合いからも正当化され、世論もそれを支持したという経緯がある。それに伴い人材派遣業界も急成長した。ところがこのところの「さらなる不況の悪化」によりお約束どおり派遣あるいは非正規雇用は真っ先に切られる羽目になった。もともと日本における「非正規雇用の活用」がそうした観点からなされてきたところが大きいのだから、こうなるのも無理はない。もし企業にもリスクを負わせるような「本来の」非正規雇用のあり方を進めるならば、指摘されるような「非正規雇用のリスクをカバーできるだけの人件費を払えない貧困企業」がさらに困窮し、こんどはそのしわ寄せが他のどこかに行くことになると思う。

最終的にしわよせは国外のどこにもいきません。なので国がしわよせを受け、政府(地方か中央かはわかりませんが)による対応を待つ事になります*1。フリーなランチはありませんから。
そういう意味で、派遣の解禁を国が支援したと言う事は、それが正常な賃金水準を伴わなければ企業の人事リスクを国家/国民が引き受けるような体制への移行であり、大きな政府福祉国家への道に他ならなかったと今は考えています。
 そういう中で好業績を出した企業(TとかCとか)が代表を務めた最大の経済団体が「法人税下げ」を要求したのはさらに「つけをどこか*2に回そう」と考えていたのでしょうね。

 もちろん、政府部門も非正規雇用専門家の給与を大幅に引き下げているわけで、フリーランチを食おうとする企業の一部を構成しているわけで、単純な同情の対象ではないですが。

 「受益者負担」で「将来利益が出た時に、法人税で払う」のが筋ってもんなんじゃないですかねぇ。

*1:失業者のケアがない場合、たとえば自殺や犯罪の増加で国民が被害を受けた上で行政コストもかかるでしょう

*2:当然に消費税ということになりますが