AIGのボーナスの事

http://d.hatena.ne.jp/sunafukin99/20090322/1237682432

確かにすでに契約された事項に関してそれを反故にするような行為は当事者であれば納得がいかないのも無理はないと言える。巨額の報酬は能力の証なのだから誰にも文句を言われる筋合いもないということらしい。たとえそれが国家であってもどんな理由であっても個人の権利侵害には徹底して戦う。ここまで来るとかえってすがすがしいぐらいだ。
しかし日本ではこういうことはあまり考えられそうもないなあ。

そう?
もう記憶が曖昧なんだけど、破綻した山一だって、破綻後にボーナスも未払い給与も払ったよね。多少の減額はあったけど、同年代で自分のボーナスの6、7倍くらい、うらやましい金額だったのを憶えている。

従業員は会社の構成員ではなく、会社と契約して働く人たちだ。
あたりまえだけど、破綻というのは「契約が履行できない事」そのものだ。
資金がある限りは、日本で破綻した債務超過企業でだって合法的に90%も減額できるもんじゃない。

株主の権利は会社の結んだあらゆる契約に優先しない。
だからこそ、会社のオーナーは株主なんだよね。
契約にもとづくボーナスを云々するくらいだったら、まず既存株主の100%減資から入るべきだろう。
そのうえで投入した政府資金を新株のMSCBにでも振り替えさせればいい。
実質的に破綻した企業の株主の保護をやってる一方で、従業員の給料を云々するのは資本主義の倫理にもとづく優先順位を大きく間違ってると思う。

追記:
おかねのこねた さんのところで情報を見つけた。
http://haruyama-shoka.blogspot.com/2009/03/aig.html

東京大学大学院経済学研究科の伊藤隆敏教授の話を聞きいた。
彼は先週ワシントンにいたそうです。

彼曰く
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AIG のボーナス支払いは、財務省ガイトナー両院協議会の議員を通じて「ボーナスを支払うべし!という一項を法案に加えるように!」と直々に要請した。
当初の法案になかったのに、わざわざ加えた。財務省として、訴訟リスクを恐れたらしい。

というか、従業員の雇用契約にもとづく給与を払えなければ、契約不履行*1で法的整理の申告が可能になったり、デフォルト条項*2への抵触になったりする方が自然なわけで.....

*1:追記:すなわちクレジットデフォルトそのもの

*2:追記:例えばCDS